lift a finger [hand]は通常否定文で「~するのに指一本動かそうとしない」「ちっとも~しない」という意味で用いられます。指を上げるくらい寝ながらでもできるけれど、そんな簡単なことすらしないという意味から出来た表現らしいです。liftは「持ち上げる」ですが、「持ち上げてある方向へうつす」という意味にも発展します。He won't lift a finger to help me.(彼はいっさい私を手伝おうとしない) fingerの代わりにhandを用いることもありますがfingerを用いるのが普通だそうです。His girlfriend was in trouble, but Masaru never lifted a finger [hand] to help her. (まさるのガールフレンドが困っていたが、彼は彼女を決して助けようとはしなかった)同じような表現にlend 人a handがあります。こちらはhandのみが使われ、lend me a fingerとは言わないとのこと。Would you lend me a hand with my homework? (宿題を手伝ってくれない) lift a fingerにはちょっと指を動かすだけでいいのにといったニュアンスがあるのに対して、lend~ a handのほうはものを頼む場合に用いられるのが普通のようです。日本語にも「手をかす」「手をさしのべる」「手助けする」など同じような言い方がありますから、発想は同じなのかもしれません。

lineには「線」とか「列」の意味以外にもたくさんの意味がありますが、「在庫品」「製品」「仕入れ品」といった意味でも使われます。ずらっとならんでいるということからこのような意味が生まれたのでしょう。I am sending some brochures for the line of office furniture. (オフィス用家具のパンフレットを送付させていただきます) この文の場合、オフィス用の家具がずらっと紹介されているパンフレットといった感じでしょう。Please look over our full line of products. (弊社の商品を一通りご覧ください)

artが芸術をあらわすようになったのは17世紀頃だそうで、artという語は技術(practical skill)を意味するarsに遡るそうです。そこで、「教養科目」とか「人文科学」とか訳されるliberal artsの中身は文法、論理学、修辞学、算数、幾何、天文、音楽の七つの科目を指していて、いずれも技術と関係が深いものばかりです。liberalとつくのは、古代ローマにおいてはこれらの科目は自由人のみが学ぶことができたからで、自由人として生きるための学問がliberal artsだったというわけです。ところで、Art is long, life is short.というと「人生は短いけれども、すぐれた芸術作品は長く残る」といった意味で理解されがちですが、これは医者のヒポクラテスのことばだそうで、ここでのartつまりarsは医術の意味なんだそうです。医術を修めるには長い時間がかかるというのが本来の意味だとのこと。「芸術は長く、人生は短し」という訳は「健全なる精神は健全なる肉体にやどる」(A sound mind in a sound body)と同様にややもすると誤解されそうです。ちなみに、旺文社のComprehesiveには「健全な肉体には健全な精神が宿らんことを祈る」という願望文が本来の意味だとしてあります。徒然草にもあるように、肉体が頑健なひとは、病弱な人の悩みや敗者の痛みがわからず傲慢になりがちだ、といっていて、決して「肉体を鍛えれば、精神も鍛えられる」といった薄っぺらな内容ではありません。

 inside outは 「裏返しに」という意味。内側の面を外側に出すということからこのような言い方をするそうです。裏をおもてにするという発想しかないようで、inside outという表現しかないそうです。outside inでも同じじゃないかと訊くと、そういう表現はないとのことでした。She had her sweater inside out. (彼女はセーターを裏返しに着ていた)

進行の副詞 onは「しつこさ」を表すことがあります。He kept on writing to her even though she never answered his letter. (彼は彼女から返事がなくても、手紙を書き続けた)この文などにはしつこさのonが滲み出ています。go on ...ing も同じような意味で使われます。He said nothing but just went on working. (Oxford) これなども、何も言わずもくもくと仕事を続けている感じです。go on / keep onの後に名詞が続く場合はGo on with your work (仕事を続けなさい)といった具合にwithを伴います。このwithはbe busy with(~で忙しい)なんかに出てくるwithと同じでしょう。いわゆる「関係」を表すwithと辞書では説明してあるものです。Keep on with your studies, however hard it sometimes seems. (ときに難しいと思えることがあっても、勉強は続けなさい)(センター) 

 

catch sight of を英英でひくと、to see someone or something very briefly and suddenly,という説明がありました。文字通りsight(見える範囲にあるもの)をとらえることから「見つける」という意味で使われますが、英英の説明に従えば、突然現れるものを短時間目でとらえる、といった感じでしょうか。They caught sight of Tom in the crowd.(彼らは群衆の中にトムを見つけた)Now, catching sight of a rainbow is always exciting. (さて、虹を見たときはいつだってわくわくするものだ) たしかに虹は突然現れます。なお反意表現はlose sight ofです。I lost sight of my son in the crowd. (人込みの中で息子の姿を見失った)(フェイバリット)またlose one’s sightと所有格が入ると「失明する」という意味になります。所有格でsightの持ち主をはっきりさせてしまうからでしょう。 He lost his sight because of the brain hemorrhage. (彼は脳内出血で視力を失った)