pocketは小さいという意味をあらわす-etがついていることからもわかるように、「小さな袋」というのが原義です。敵に包囲された場所といった意味もありますから、本来、軍隊用語だったのかもしれません。ところで、ポケットには「周囲から孤立した異質な場所」といった意味があります。そういえば、ズボンのポケットは隠れて見えませんから、孤立しています。そんな感じでこの意味のポケットを捉えても面白いと思います。There are rural pockets even around the city. (都市のまわりにもまだ田園地帯が点在している)

Aluminum is a thin metal that is easily pliable.は「アルミは薄い金属で簡単に曲げられる」といった意味です。ここで登場するpliableは「曲げやすい」といった感じです。ところが、主語が人になって、たとえば、 She was very pliable to her parents. となると、「彼女は両親の言いなりになっていた」といった意味になります。ここでのpliableは「言いなりになる」といったニュアンス。語根のpli-はpliers(ペンチ)に出てくるように「曲げる」という意味。柔らかく曲がるということから、人間に関することに使われると「従順な」などの意味になったのでしょう。シカゴ出身のALTに訊ねたところ、どちらかというとネガティブな意味合が強いそうです。他人の影響を受けやすい、指示されることに弱い、といったことからネガティブな意味合いをもつのだろうと思われます。

対数表(logarithmic table)とか九九一覧表などはtableを使います。一方、天気図(weather chart)とか棒グラフ(bar graph)、折れ線グラフ(line graph),円グラフ(pie graph, pie chart)などはchartと言います。きちんと列をつくって並べられた椅子(table)を上から見れば、たしかに表のように見えます。chartはもともと海図の意味だったので、たとえば海と陸地を色分けしていたでしょうし、水深を図で表していたでしょうから、そのような色分けからグラフのことを指すようになったのかもしれません。I am working on refining my sensors, adding various tables and charts for more accurate values. (わたしは、より正確な数値をあらわすためのさまざまな図表を追加しながら、センサーの改善に取り組んでいます。)

I am 12 years old. I’m in seventh grade.という文に出会いました。「私は12才で、中学一年生です」というなんの変哲もない文ですが、気になるのは定冠詞です。seventhは序数ですから、定冠詞がつくはずです。イギリス英語では、たぶん、I’m in the seventh grade.となるでしょう。そこで、なぜ定冠詞が落ちるのかALTに訊ねたところ、中学一年生はたくさんいるし、特別な存在ではないから、という返答でした。ふむ、厄介ですね。ところで、My grandson is in [the] first grade.です。

pay through the nose は直訳すると「鼻を通して払う」となりますが、「法外な金を払う」といった意味。起源に関しては、バイキングが税を払えなかった者の鼻を削いだことに由来するなど、諸説あるようですが、脅して金を搾り取るという意味のbleedから「鼻を通して」(through the nose) つまり鼻血 (nosebleed) が出るほど残酷な取り立てをするというニュアンスが生まれ、それがびっくりするほど高いという風に発展したようです。必ずしも金額が大きいとは限らず、普通の値段にくらべてすごく高いという場合に使わるとのこと。Beef is very expensive in Japan. You pay through the nose even for low-grade hamburger. (日本では牛肉はすごく高い。ちょっとしたひき肉を買うにもびっくりするほど高い金を払うことになる) We have to pay through the nose for funerals in Japan. (日本では葬式に法外なお金を払わなければならない) かつて、椎名麟三は「ひとは死にたくもないのに死ななければならない」しかも「死ぬとわかっていながら生きなければならない」と言いましたが、お葬式代をそろえておかなければ死ねないとなると、そんな「生と死」の不条理に浸っている余裕などなさそうです。

place an order 「注文する」注文を書き込んで,配達なんかを頼むことをこのように表現します。placeは特定の場所という意味ですから、注文用紙の決められた場所(place)に書き込むことからplaceを使うと考えればいいでしょう。I placed an order for five pizzas with the pizza parlor. (そのピザ屋にピザを5枚注文した) もちろん電話で注文してもいいわけですが、そのときもピザ屋さんが注文を書き込むでしょうから、placeになります。I placed an order for a camera. But it was a faulty one. (ぼくはカメラを注文したが、欠陥商品だった) なおカメラと洋服とメガネを注文したというような場合はplace three ordersと複数形になります。

plastic smile は「作り笑い」の意味。fake smileのこと。プラスチックは合成されたもの、人工的につくられたもの、ということから、plastic smileは自然ではない笑い、つまり「作り笑い」の意味で使われます。トランプ大統領のsmileがまさにplastic smileでしょう。口もとは笑っているけれど、目が笑っていない感じです。He flashed a plastic smile. (彼は作り笑いを浮かべた) We were wearing a plastic smile. (ぼくたちは作り笑いを浮かべていた)