deprive A of Bは入試問題によく顔を出す成句です。いくつか紹介してみます。The man deprived her of food. (その男は彼女から食べ物を奪った)(慶応)Those governments are depriving their people, their nations, of great opportunities by trying to limit access to these technologies.(そのような政府はこれらの技術の利用を制限しようとすることで、その国民からすばらしい機会を奪っている)(法政)といった具合です。

depriveのdeはaway の意味でしょう。語根のpriv-は「個人の所有」という意味合いを持つそうです。privacyとかprivateなども同根語です。そこから個人の所有を奪うのがdepriveとなります。ofは「分離」を示すと考えればいいでしょう。depriveは「必要なものを人から奪う」といったニュアンス。これに対してrob A of Bは「暴力を使って奪う」感じがします。The man robbed an old lady of her purse. (その男は老婦人から財布を奪った)の場合、男はおばあさんの財布を乱暴に奪ったのです。ところで、deprive A of Bもrob A of Bもまず「奪われた人」を言った後「奪われた物」をいいます。それは構造的にはI kissed her on the lipsと同じです。これとThe man robbed an old lady of her purse.を比べてみると、まず全体、つまり奪われた人(her / an old lady)を言って、そして部分、つまり奪われた物( the lips/ her purse)を言う構造は同じです。 Astonishment almost deprived the girl of speech. (その少女はとても驚いたので、ほとんどものも言えなかった)――これも入試に出題されたものですが、まず少女を奪ったと大げさに全体を言って、その後で、なんだ口がきけなかったのかと安心させる言い方でもあるわけです。The poor old woman was robbed of her money. (かわいそうに、その老婦人はお金を奪われた)(青学)のように被害を表す受け身でも使われます。