机の上にコーヒーをこぼしてしまい、大慌てで拭き取っていたら、机の隅からDavid Weatherfordのメッセージみたいなのが出てきました。We enjoy warmth because we have been cold. We appreciate light because we have been in darkness. By the same token, we can experience joy because we have known sadness. こういう言葉に出会うと、明暗がくっきりしていて、すっきりします。暖かさ――寒さ、光――闇、存在――非存在、こういった対立を提出したのはギリシャの哲学者パルメニデースなんだそうです。彼は肯定的なものと、否定的なものに分けてものごとを捉えようとしたようです。たとえば、暖かさ、光、存在、喜びなどは肯定的なもの、寒さ、闇、非存在、悲しみといったものは否定的なものといった具合に。そしてのちに物議をかもすことになったのが、「軽さ」を肯定的、「重さ」は否定的としたということでしょう。そして二千年以上も経って、重さ―軽さという対立はあるのか、という問題を小説にしたのが、ミラン・クンデラの「耐えられない存在の軽さ」(The Unbearable Lightness of Being) ということになるのでしょう。ヨーロッパは深いですが、David Weatherfordの方が単純で生きやすい気もします。