lose one's way (道に迷う)はdo one's bestなどと同じように、所有格をつけて動作主を示します。自分だけに関わる道、自分が戻らなければならない道だからone's wayになるわけで、他人に代わってもらうわけにはいかないのです。そのような自分の道を失うということから「道に迷う」といった意味になります。I lost my way in that city and did not return to my hotel until after nine o'clock. (私はその町で道に迷い、9時過ぎまでホテルに戻れなかった)(東京女子大)この文のようにある目的地へ行こうとして道に迷うのがlose one's wayと考えればいいと思います。一方、似たような意味で使われるget [be] lostは自分がどこにいるのかわからないといった場合に用いられます。We got lost on the mountain. (山で道に迷った)The ship was lost in the hurricane. (船は暴風で沈没した) このように、どちらかといえばget [be] lost の方が深刻な状況で用いられるようです。そのため「道に迷う」だけでなく「途方に暮れる」とか「行方不明になる」などの意味にも発展します。 Thousands of soldiers were lost in the battle.(何千人もの兵士が戦闘で命を落とした)(英語基本動詞辞典)ここでのwerre lostはlose one’s lifeの受け身形と捉えてもいいでしょうが、were killedの婉曲表現とも考えられます。この国では、高貴なお人が死ぬのを「お隠れになる」といったそうですが、それを「自分がどこにいるのか気づかせない」「自分の存在を気づかせない」と捉えればlose one's lifeに近い感じがします。もっとも、今もどこかに隠れて生きていてほしいものだという願望なり祈りなりを込めて「お隠れになる」といったのかもしれませんが……。