objectiveというと「物体」とか「目標」とか文法用語の「目的語」などの意味を持ちますが、形容詞として「客観的な」という意味もあります。objectは語源的にはob-「その方向へ」+ject「投げる」ということで、目の前に投げつけられて視界に入るものが物体 (object)。目の前に設置されたゴールが目標――目標に向かって進む活動がプロジェクト (project) というわけでしょう。さらに、ある意見に対して投げつけられるものが「異論」、つまりobjectionです。そこで、objectiveが「客観的な」という意味を持つのは、目の前に投げつけられたものを距離を置いて見る、ということから発生したのかもしれません。Our main objective for the next year is to increase the profitability. (私たちの来年に向けての目標は、収益性を高めることだ) I need to take an objective look at myself. (自分のことを客観的に見る必要がある) ところで、「客観的」というと「客の視点」、もっと極端にいえば、「お客様の視点」で物事を考えるという風に捉えて、おもてなしファーストになってしまい、多くの人がなるほどと思うのが客観的だとややもすると考えがちですが、Cambridgeにはbased on real facts and not influenced by personal beliefs and feelingsとあります。つまり事実に基づくのがobjectiveだとしか説明はありません。他人の視点で物事を見るといった意味合いはありませんし、ましてや、多くの人が賛同するような見方といったニュアンスはどこにもありません。「主観」「客観」とobjective, subjectiveは同じだと捉えるとまずいという気がしますが……。あるALTは「物」は動かないから、objectiveが「客観的」という意味になると説明していましたが、面白いと思いました。「客」と「主人」あるいは「亭主」といった世界観と切り離して考える必要がありそうです。I think my husband is the most handsome man in the world, but I realize my judgment is rather subjective.このように、subjective (主観的)というのもbased on personal beliefs and feelingsであって、独りよがりで自己中心的といったニュアンスはないようです。