peaceの語根はpakで、土を平たく打ち固めるという意味だそうです。それがpac になり、aとcの間にeが入り込んだのがpeaceだとのこと。ところで、農民のpeasantにもpeaが入っています。土をうち固める、土をならすのが農民の仕事だったからでしょう。さらにpact (協定) にはpacが入っています。a peace pact (平和協定) のように使われたりしますが、協定や条約を結んで平和を固めようとしたからでしょう。ついでながら、支払うpayも同根語で、pakのkがyになったもの。支払えば、借りても貸し手も平和になるというのでしょう。ともあれ、労せずして棚から牡丹餅式に手にはいる平和はない (なかった) ということでしょうか。平和とは農民が土を耕すような地道な努力、粘り強い交渉の末に手に入れることができるものなのかもしれません。 Pax Romana (ローマの平和) のpaxも「平和」の意味ですが、語源を見てみると”kiss of peace”の意味だとありました。おしゃれ、というか粋というか、ラテン語は詩的です。そのpaxが形をかえてpaci-となり動詞語尾のfyがつき、さらにismが加わってできたのがpacifismです。「平和主義」と訳され、国際紛争は仲裁によって解決できるという主義などと仰々しく訳してある辞書もありますが、簡単にいえば「戦争と暴力は間違いである」という信念のことです。It is the latest shift from the pacifism that has dominated Japanese politics since World War Ⅱ.(それは第二次世界大戦以降日本の政治の特色であった平和主義から遠のく最新の変革だ) ちなみに「太平洋」はThe Pacific Oceanといいますが、探検家マゼランがどの海よりも穏やかな海だということから名付けたそうです。いつまでも文字通りpacificな海であってもらいたいものです。