atrocious :「極悪非道な」名詞形はatrocity (残虐行為。極悪非道)です。-ousは「持っている」とか「多い」とか「関係している」といった意味を示す形容詞語尾ですから、atrocityを持っている、あるいはatrocityと関係の深い、という意味で捉えればいいでしょう。語源的には「火」を表すaterに辿り着くそうです。そのaterはゾロアスター教アフラ・マズダー(善と光明の神)と関係があるそうで、インドの阿修羅ともかかわりがあるとのこと。日本語では仏教の影響を受けて、争いのたえない世界を修羅といったりして、「修羅場をくぐる」という言い方は人口に膾炙していますが、意味的には光と善の神アフラ・マズダーとはかなり乖離しています。まあ、それだけ古代の人々の間で宗教的解釈を巡って紆余曲折あったということでしょう。ちなみに、日本の自動車会社マツダの海外向けの社名はMAZDAですが、これはアフラ・マズダーと関係があるそうです。その背景にどのような意図があったのかは知らないのですが、MATUDAではなくMAZDAとしたところに、創設者のことばに関する鋭さと会社の意気込みのようなものを感じます。 That factory has atrocious working conditions. (あの工場は労働環境が劣悪だ) Many atrocious abuses happened in that nursing home.  (あの老人ホームで悪質な虐待事件が多発した) His handwriting is atrocious. (彼の字はひどい)日常語としてはこのようにvery badの意味でつかわれることもあります。