「デモクラシーとは余分にもっている人間が十分にもたない人間のために不足分を満たす義務のことである」これはフランス革命期を駆け抜けた思想家バブーフのことばです。歴史の教科書なんかには空想的平等主義者として登場しますが、極貧家庭に生まれ育った彼は、独学して自らの思想を深め、ひたすら貧農家庭を救うために奔走しました。このコロナの騒ぎに乗じて私服を肥やした輩 (those who have feathered their own nests) や被害を受けて困っている人々に対して早急な措置も処置もできずただ手を束ねている為政者たちには耳の痛いことばではないでしょうか。もっともそんな連中はバブーフなど読まないでしょうが。「個人的な分け前をこえて社会の財産をもつ人間が所有するすべては窃盗であり略奪である」とまで彼は言い切っています。ちょっと極端ですが、貧乏人からすればまったくだ、と言いたくなりますね。彼のことばは300年経た今、なぜかとても身近に感じますが……。