kindは「親切な」という意味ですから、おおむね人が主語に来ます。たとえば、Aki is really kind, so we like her very much. (アキはとても優しいから、みんな彼女のことが大好きだ) といった具合に。ところが、主語が物事の場合があります。2017年7月号のCNNにクリスティアーノ・ロナウド銅像に関する記事で、The reviews of the sculpture haven’t been very kind. (この銅像の評判はあまり芳しくない)というのがありました。これを、英文通りreviews (批評)を主語にして「批評が優しくない」と捉えると何だか変です。この場合、銅像の鼻がロナウドより大きすぎるとか、目が小さすぎるとか、あれこれ不満をいう人がいるわけで、そういう人たちは、つまり銅像に対してkindではないわけです。ですから、kindはやはり主語はあくまで人であって、物事が主語になっていても、その物事に対して好意的にあるいは批判的に述べる人が、いわば隠れた主語としてその背景にいると捉えればいいのではないかと思います。

speak withは「アメリカ英語」と注釈をつけている辞書がありましたが、個人的にはさほど重要な情報だとは思えません。そんなことよりも、speak toとの違いの方が知っておくべきことがらではないかと思います。 ある人が話しをし、その人以外の人はその話を聞いている、というような場合には、speak toでしょう。たとえば大統領が国民に向かってテレビを通して話しかけるといったような場合はspeak toでしょう。一方、お互いに意見交換したり、話のキャッチボールをするような場合には、speak withが使われているようが気がします。Former U.S. President Barrack Obama spoke with college students at the University of Chicago. この場合、前大統領のオバマさんはシカゴ大学の学生にむかって一方的に話したわけではなく、彼らの意見も聞いたということがspeak withで分かります。

If you work hard, you'll pass. If not, you will fail. (一生懸命勉強すれば合格できるだろう。もしそうでなければ、落第するだろう) この場合、if not =if you don't workということでしょう。 “Have the document arrived?” “Yes, of course, if not, we’d be in big trouble right now.” (「書類は届いたかな」「ええ、もちろんです。もし届いていなかったら、それこそ大変ですよ」) ここではif not= if the document have not arrived yetぐらいでしょうか。さて、if notで厄介なのは、A if not Bのような場合です。このときはAより程度の大きい語(句)がBにきます。He looks more than seventy, if not eighty, years old. (80歳でないにしても70歳以上に見える) このような場合には大ざっぱにAとBの間と考えればいいのではないかと思います。つまり、ここでは70歳と80歳の間に彼は見えるという風に読めば「80歳でないにしても70歳以上に」とBからAに戻るような読み方をしなくてすみます。 Rivalries between England and Scotland and continental Europe have ebbed and flowed over hundreds if not thousands of years. (イングランドスコットランドの間では、何百年、いや、おそらく何千年もの間、対立関係が消長をくり返してきました) この訳のように「A、いやB」のように訳せば比較的簡単に英語を読み進めることができます。この場合も、何百年から何千年の間と捉えればいいのではないかと思うのです。

infamousはアクセントの問題とか発音の問題などでしばしば顔を出す単語ですが、アクセントはinの部分に、発音はインフェイマスではなく、インファマスといった感じです。famousにinが付いているので、famousの反意語、つまりnot famous (有名ではない)ととらえがちですが、「有名なのです」。たとえばKKKのように実際に悪いことをするので有名だというのがinfamousです。The KKK is infamous for displaying cruelty to American black people. (KKKはアメリカ黒人に残酷なことをするので有名だ)(アメリカ英語表現辞典) 同意語にnotoriousがありますが、いつも何か特別なことをして「悪評がたっている」といったニュアンスでしょうか。This city is notorious for its high crime rate. (この町は高い犯罪率で有名である) なんとなくinfamousの方がnotoriousよりも悪質な感じがしますが……。

call in sickは「病気で休みます」と職場などに電話で連絡するときに使われます。”Have you seen Shigeru?” “He called in sick today.” (「茂を見かけたかい?」「病気で休むって連絡があったよ」)といった感じです。この成句を文法的に考えるとinは前置詞ですから、sickのような形容詞が来るのには違和感があります。ALTに訊ねたところ、call in to the office and say you will not come to work because you are sick.と解説してくれました。やはりsickはyou will not come to work because you are sickが凝縮された、いわゆる付加のような働きをしていると考えればよさそうです。なおcall inで自分がどこにいるか、何をしているかを職場に電話するという意味で捉えればいいと思います。

Finals start next week. I've got to start hitting the books tonight. (期末試験は来週からだ。今夜からうんと勉強しなきゃ)というのがhit the booksの例文として『アメリカ口語辞典』に載っています。hit the booksは簡単にいえばstudy hardということですが、hitは「打つ」という意味からか、何となく激しさとか勢いのようなものを感じます。典型的なのがhit the roof (癇癪をおこす)でしょう。怒りが屋根を叩くというのですから、激しいですが、「怒髪天を衝く」などに比べると、どことなくユーモラスです。さて、hit the booksと複数形になるのは何冊も本を読んで勉強するからだと説明してくれたALTがいましたが、おそらくそういうイメージなのでしょう。本の表紙をhitして、つまり叩いて、よしこれは読んだ、次はあの本に取りかかろう、といったイメージで捉えても面白いんじゃないかなと個人的には思ったりしていますが。

in the air は 「(うわさなどが)広まって」といった意味で使われます。たとえば「その商社は倒産しかかっているといううわさが広まっている」といえば、There's another rumor in the air that the firm is going into bankruptcy.といった感じ。さらにupがついて up in the air となると「未確定で」といった意味で使われます。Things are up in the air.とかThat’s still up in the air.といえば、「それはまだ決まってないよ」といった感じ。air (大気)は目に見えない、不確かなものというところから、ほんとうかどうかはっきりしないうわさが広まっているとか、ものごとが決まっていない、まだ漠然としているなどの意味に発展したのでしょう。なお、airは「大気」を表すのでtheをつけます。the sun, the earthなどにつくtheです。ところで、同じような表現にin the windがあります。in the windというと、ノーベル賞を受賞したボブ・デイランの"Blowin' in the wind"を思い浮かべてしまいますが、これも「どうなるかはっきりしない」といった意味合いでしょう。因みに、inがonにかわって、 on the airとなると、「放送中」という意味です。電波が飛ぶのでairなのでしょうが、前置詞onはon fire(燃えている)とかon sale(売り出し中)のonと同じく「~中で」という意味で捉えればいいでしょう。You can't go in the studio. They are on the air now. (スタジオに入ってはいけない。今、放送中だから)