a laundry list of~:「~の長いリスト」laundryとありますから、直訳すれば「洗濯物のリスト」となります。かつて大学町にいた頃、学生たちや住民たちが週末になると洗濯物をばかでかい麻袋みたいなものに押し込んで、コインローンドリィにやってくる光景をよく目にしたものです。そのためか、この成句は靴下とか下着とかシャツとか洗濯物をあのばかでかい袋からひとつひとつ取り出す様をイメージしてしまいます。The fashion show I went to yesterday featured a laundry list of supermodels. ( 昨日私が見に行ったファッションショーには大勢のスーパーモデルが出演していた)(アルク) この文からもわかるように、簡単にa lot ofと捉えればいいような気がします。 He also left behind a laundry list of bizarre behavior. (彼はまた、長いリストになるほど数々の奇妙な行動をとっていました)What he’s done is he’s now created this huge laundry list of problems for himself. (彼が何をやっているかというと自力で取り組まなければならない問題の長大なリストを作ってしまったわけです)(CNN) ここでのheとは、グローバルな問題を解決するために多数の国家と協力して取り組む、いわゆる多国間主義の立場から、アメリカファーストの立場から米国単独でさまざまな問題を解決しようとする大統領トランプ氏を指しています。

orientation 天気予報などで「北北東の風。風力3」のようにアナウンスしますが、日本語は東西を軸にしますから、「北北東」ではなく「東北北」となりそうなのに、気象に関しては東西を軸にしていないようです。「南東の風」は耳にしますが「東南の風」というのは聞いたことがありません。ちょっと不思議です。さて、orientationはorient、つまり「東洋」あるいは「東」と関係の深い語ですから、日本語の発想と同じだなと思ったりしますが、その背景にはキリスト教的なものがあるような気がします。イエスが生まれたときに 東の方から(といってもエルサレムから東の方) 三人の学者がイエスを、つまりメシアを拝みに来るというエピソードは有名ですが, キリスト教の教会の主祭壇を東に設置するようになったこととこの物語は何らかの関係があるのではないか、と思っています。ともあれ、そのように祭壇を東に向けることから、当時「東の方向」が「正しい方向」だと考えられていたことが分かります。そこで、orientationは「東向き」という意味が原義だったと考えられそうです。さらに、この語は「(個人の)志向,信条」「(社会などの)方向性,傾向,動向」といった意味に派生していきます。いずれも「方向性」という共通点があることが特徴的です。たとえば、political [religious] orientationというと「政治[宗教]的信条」といった意味になります。Cambridgeにはthe particular things that a person prefers, believes, thinks, or usually does. と個人的なあるいは私的な傾向なり信条なりを指すと定義してありますから、社会性というよりも個人的な考えや指向に重点があることがわかります。 We employ people without regard to their political or sexual orientation.(私たちは政治的信条や性的指向に関係なく雇います)(Cambridge) Schools teach pupils aged 4 to 11 about different races, religions, gender identity and sexual orientation, a key point of contention for the protesters. (学校では4歳から11歳の子どもたちに異なる人種や宗教、性自認性的指向について教えます。抗議をしている人々が特に問題視しているのがこの性的指向についてです) (CNN) ちなみに,この文の最後のカンマはいわゆる「同格のカンマ」です。

fiasco 「みじめな結末に終わった大失敗」語源的にはflask,いわゆるフラスコ(瓶)からきているそうです。ヴェネチアのガラス職人が失敗作を瓶に加工したからだとか、賭事で負けた人がワイン代 (ワインの入った瓶からワインの料金、つまり酒代の意味になったらしい)を負担したのが語源だとか諸説あるようです。The party was a fiasco because no one enjoyed it. (パーティは大失敗だった。というのも誰も楽しんでいなかったからだ) Cambridgeにはcomplete failureと定義してありますが、この文のように、成功を期待していたのに大失敗だったといった感じがfiascoに含まれている気がします。His speech was an entire fiasco, because he was terribly drunk. (彼の発言は悲惨なものだった。ひどく酔っ払っていたからだ) そういえば、泥酔状態のまま記者会見に臨んだ大臣がいましたが、かれの場合はろれつが回らなかったですからfiascoとはいえないでしょう。かといって blunderでもないし、faux pas でもない。彼はただオバ、オバ、マ、と発しただけでしたから。彼はいったい何を言いたかったのでしょうか、あのとき。

gasp 「はっと息を飲む(こと)」to take a short, quick breath through the mouth, especially because of surprise, pain, or shock (Cambridge) とありました。びっくりしたり、苦しかったリ、ショックを受けたりしてはっと息を飲む感じで捉えればいいようです。語根はgulで「口を開く」という意味だそうです。海で口を開いているのがgulf (湾)、のどをそらせて飛ぶのがsea gull (カモメ)といった具合にいくつかの単語にgulが残っています。母音交替が起こって、gaになってできたのがgape (口をあけて見とれる)とかgaspです。Gasping for breath, I went up the mountain path. (喘ぎながら、山道を上った)  この文のように「はあー、はあー」と息切れして苦しくてあえぐような場合はgasp for breath と「期待」のforを伴います。Why did you gasp in surprise at the sight of my figure? (何で私の体型を見てハッと息を飲んだの?)

dilute: 「水などで薄める」Cambridgeにはto make a liquid weaker by mixing in something else (液体を何か他のものとまぜることで薄める )とありました。Dilute the juice with water before you drink it.(ジュースを飲むまえに水で薄めてください) 語根のlut-/lot-はwashの意味だそうです。化粧水のlotionも同根語です。di=disですが、ここではnotよりもapart (分離) の感じがします。水などで洗って、あるいは薄めて、本来の味や力から離れる、つまり本来の味なり力なりが薄められるというのでしょう。ダイルートと発音するものとばかり思い込んでいたら、あるときディルートという発音に出くわして改めて発音記号を確かめたことがあります。When diluted with another beverage, it becomes tasteless. (それは別の飲み物で薄めると、まずくなります) この場合 whenの後にit isを補えばいいでしょう。 First dilute the bleach [dishwashing liquid] with water. (まず、漂白剤 [台所洗剤]を水で薄めてください)

My allergies is acting up again.というと「またアレルギーが出てきた」といった意味になります。Cambridgeによるとact upについて、If a machine or part of the body acts up, it does not perform as well as it shouldとありました。身体だけでなく、機械などの調子が悪くなるような場合にも使われることがわかります。My cellphone is acting up. といえば、「ぼくの携帯は調子悪い」といった意味になるでしょう。 My car always acts up in cold weather. (寒いとぼくの車はいつもおかしくなる) Her shoulder was acting up. (彼女の肩は再び痛みだした)(Cambridge) ALTにこの成句について訊ねたら、膝をさすりながら、主に関節が再び痛みだす、という意味だと説明してくれました。ですから、このupはたぶん「出現」でしょう。痛みが再び体内で活動しはじめて表に上がってきた、といった感じで捉えたらどうでしょうか。