hit it off はto be friendly with each other immediatelyと英英にはありました。出会ってすぐに仲良くなる、といった感じでしょうか。カナダ出身の先生は、バットにうまくボールをあてて(hit) 遠くへとばす(off)ことから生まれたんじゃないかと言っていました。なるほど、バットとボールが出会って、ボールがバットの芯に当たって、つまり、ヒットして、意気投合して、鋭い打球が飛んでいく、といったニュアンスがあるのでしょう。We hit it off right away with each other and became good friends. (わたしたちはすぐ意気投合して友達になった) I just don't hit it off well with her. (彼女とはどうもうまが合わない)(フェイバリット)このように否定でも使われます。

groundbreaking は「画期的な」「革新的な」といった意味で使われます。本来は「着工式」の意味で、土にスコップを突き刺すのがgroundbreakingですが、土を地球と考えれば、その影響が地球に及ぶということから、広く知れ渡るような出来事、画期的な出来事、という風に発展していったのかもしれません。もちろん、土に鍬を入れるということから、新しいことのはじまりの比喩として捉えることもできます。They announced a groundbreaking new product which will be launched in April. (4月に発売される画期的な新製品を発表した)  Archaeologists in England have made a groundbreaking discovery near Stonehenge. (イングランドの考古学者らがストーンヘンジ周辺で画期的な発見をした)(CNN)

「~を自由に取って食べる」という場合にhelp oneself to~という言い方をします。直訳すると、「~に対して自分自身を助ける」となって意味をなしません。ここでのhelpは「食べ物(飲み物)をよそうのを手伝う」というような意味で、自分自身によそってあげなさいということから、「自由にとってください」という意味になったもののようです。Please help yourself to the fruit. (果物をご自由に取って食べてください)

go to the dogsは直訳すると「犬のところへ行く」となりますが、「だめになる」といった感じです。このgoはgo to piecesとかgo bankruptなどに出てくるgoで「壊れる」といったニュアンスをもつgoではないかと思われます。ALTに訊ねたところ、 たくさんの犬(dogs)がやってくるほど、荒廃してしまったということから生まれたのではないかということでした。dogはdie like a dog (みじめな死に方をする)とかlead a dog’s life (みじめな生活をする)など悲惨なイメージと結びつくことがあります。そこから悲惨な状況へ行く、悲惨な状態になる、という風に発展したのかもしれません。個人的には、空き家とか廃業した工場とかゴーストタウンとか、そんな廃墟になったような場所に犬がたむろしている光景を思い浮かべてしまいますが……。His business went to the dogs. (彼の事業はつぶれてしまった)

go under the hammer は「競売に付される」「競り落とされる」という風に日本語にすると受け身のようになりますが、物を主語にして能動で表すのが普通です。the hammerは競売者が使う木槌で、直訳すれば、「その木槌の下に行く」となります。この場合のunderはunder the lawなどの「支配」を表すときに出てくるunderのような気がします。ですから、競売者の支配下に置かれるといった感じでしょう。“Green Melon” went under the hammer for $25 million. (「グリーンメロン」という作品は2500万ドルで落札された) なお、競売に付す、という場合はput 物 under the hammerとなります。「木槌の下に置く」わけです。I hate to put this painting under the hammer. (この絵を競に出すのは嫌だ)

go placesを直訳すると「いろいろな場所に行く」となりますが、この成句は「出世する」とか「成功する」という意味で使われます。いろいろな場所に行くということは色々な職業を経験するという風に捉えればいいでしょう。欧米の社会ではstep upするために転職するという考え方が強いので、転職と出世、あるいは成功とは関係が深いのでしょう。placesと複数になるのは、たとえば、今の職を辞して、別の会社では社長になるとか、事業をおこすとか、様々な可能性を意味することから複数になっているのでしょう。係長、課長、部長などのようにランクが上がっていくことから複数になると説明したALTもいました。英英にはto be likely to be successful in the futureとありますから、未来について述べる言い方で、過去では使われるないようです。訊ねてみると、He studied a lot, then he went places.のようには言わないとのことでした。If Mr.Suzuki studies hard, he will go places. (スズキさんは一生懸命に勉強すれば、出世するでしょう) このように未来形で使われます。これからも様々な可能性が秘められているということから未来形になるわけです。

profitとbenefitはともに「利益」と訳されるので紛らわしいですが、単純に「儲け」を意味するのがprofitだと考えればいいと思います。proは「先」を意味する接頭辞ですから、誰よりも先に売って儲けるのがprofitなのでしょう。ともあれ、千円のものを千百円で売れば、profitは百円です。一方、benefitはお金では得られない「利益」、幸福とか福祉につながる「利益」、つまり内面を問題にするのがbenefitのような気がします。bene-はwell とかgoodの意味ですから、善い行いをすることがbenefitの本来の意味です。「慈善コンサート」のことをa benefit concertというのは、コンサートの目的がprofitではなく「慈善」だからです。「儲け」はないけれど、恵まれない人々のために役に立てるという思いがありますから、benefitになるわけです。This discovery of oil brought many benefits to the town. (石油の発見はこの町に多くの恩恵をもたらした) この場合、石油で町が儲かったというのではく、石油が町の人々に善い行いをした、つまりさまざまな恩恵をもたらしたというわけです。