chanceはチャンスという日本語にもなっていますが、「転がる」が原義だそうです。さいころを転がすことから「起こる可能性」つまり「偶然」が本来の意味。偶然良いことが起これば「好機」ですが、悪いことが起これば「危険」になります。そこで、by any chanceというと、「偶然によって」ということから「ひょとして」といった意味に発展したと思われます。この句は、通常疑問文で用いられ、肯定文では使われないようです。Do you love him, by any chance? (「ひょっとして、あなた、彼のこと好きじゃないの?」) この場合のように、どちらかといえば会話調です。by any chanceを挿入することで、直接的ではなく控え目な言い方になるので便利です。Are you by any chance Mr. Mori? (もしかして森さんじゃありませんか) Do you remember by any chance what you said to me yesterday? (昨日私に言ったこと覚えていますか) ちなみにanyをつけずに、by chanceというと「たまたま」といった意味になります。I was there by chance. (ぼくはたまたまそこに居合わせた) この場合のbyはby mistakeなどのように原因が特定できない場合に使われるbyです。I met an old man on the street by chance. (街で偶然旧友に出会った) 偶然出会ったときに、なぜ出会ったのかなんて出会った原因や理由を考える人はだぶん普通いないでしょう。偶然ですから。A new species of monkey was found in Congo. The discovery was made by chance by a team of scientists. (新種のサルがコンゴで見つかった。それは、科学者らによって、偶然発見されたのだった)