incentive のcentは歌をうたうことで、もともとは歌を歌って人を引き寄せるというのがincentiveの意味だったようです。そこから「やる気を起こさせるもの」というような意味に転じたのでしょうが、同じ「やる気」を意味するmotivationとは対照的です。というのも、心の内側からやる気が湧いてくるmotivationに対して, 外側からやる気を起こさせるというのがincentiveのニュアンスだからです。Such a small bonus provides no incentive. (こんな少ないボーナスをもらってもなんの励みにもならない) この場合、文字通り、ボーナスの額がincentiveになっているわけで、ひょっとすると(あるいは多分に)仕事に生き甲斐を覚えているわけではないかもしれません。We are not eligible for local incentives. (私たちは現地の補助金を受けることもできません) このようにincentiveには、やる気を起こさせる「奨励金」の意味もあります。People are surprisingly rational, and people respond to incentives. (人は驚くほど理性的で、やる気をおこさせるものに反応する)

in the endは「結果」や「結末」、つまりendに重点を置いた言い方だと考えればいいようです。We had a lot of trouble with our house. In the end, we decided to move out.(センター試験より抜粋)この場合も結局引っ越したということを言いたいわけです。前置詞のinは、たとえばin short(要するに)とかin fact(実は)などのように、柱になる語 (in shortの場合のshort, in the endの場合のend) を強める働きをしているような気がします。一方、同じ「ついに」でもat lastとかat length の場合は「努力して達成する」ことに重点があるようです。She earned her diploma at last after six years in college. この場合、彼女は6年大学に通って、ついに学位を取得し、目標を達成したというわけです。

failには fail to function(機械などが機能しなくなる)という意味の自動詞があります。続いていたものが止まる、動かなくなる、といった感じです。「失敗する」も失敗した時点で動きが止まるーー大袈裟に言えば時間が止まるーーわけですから、failには動いているものが止まるというニュアンスがあるようです。ちなみに、failはfallの過去形のfellが二重母音化してfailとなったもので「落ちる」ことが原義だそうです。落ちて、役に立たなくなるのがfailと捉えればいいのかもしれません。The cooling system at one of the reactors failed. (原子炉一基の冷却システムが機能停止に陥った) It’s not yet known what caused the landing gear to fail. (着陸装置が作動しなくなった原因はまだわかっていない) このように何か重大な事柄に用いられることが普通だとのこと。ところで、「車が故障する」はthe car failedとは言わないで、the engine failedと言うのだそうです。実際に動いているのは車ではなく、エンジンだというのでしょう。

economic recession (景気後退) economic growth (経済成長) economic condition (景気) economic theory (経済理論)などのように、純粋に経済に関することに使われるのがeconomicです。一方、economicalは「倹約的な」「無駄のない」と言う意味で使われます。たとえば、economical housekeeping (家計の節約)とかeconomical car (燃費のいい車)といった具合です。形容詞語尾(名詞語尾でもありますが)の-alは性質などを表すことがあります。economyとはもともと家を管理することだったそうですから、お金や資源を無駄に使わない、あるいは慎重に使うということだと捉えればよさそうです。

face to face は 「面と向かって」といった意味で使われます。 I have never talked to her face to face. というと「面とむかって彼女と話したことは一度もない」といった意味。

文字通り顔と顔をむかい合わせてというのでface to faceとなりますが、one on one (一対一で) という言い方があるので、face on faceという言い方はしないのかとALTに訊ねてみたところ、そういう言い方はしないとのこと。one on oneはバスケットから出た用語であり、バスケットは相手と接触するプレーが普通だからonとなるようです。

do the dishes (皿を洗う) のdoは「~をきれいにする」というような意味でしょう。do the roomだと「部屋をきれいにする」do the gardenだと「庭の手入れをする」といった具合です。この手の言い方に登場する定冠詞theは話し手、聞き手の双方に分かっているものを指すときに出てくるtheと考えればいいようです。ここでのthe dishesは食事のときに使った食器に決まっているのでtheがついているわけです。またdishesと複数になるのは、皿だけでなくお茶碗やお箸やコップといった食事に使った食器類を指すからです。You have to do the dishes. (食後皿を洗わなければなりません) You can’t go out and play until you’ve done the dishes. (皿を洗い終えるまで外で遊んではいけませんよ)

face the music は「自ら招いた非難をまともに受ける」といった意味ですが、米国軍隊の兵に対する処罰のやり方に由来する言い方なのだそうです。『アメリカ口語辞典』によると、有罪と決まって隊から追放されるような処罰を受ける者は居並ぶ隊員の前に立ち、罪状を読み上げられるのを聞かなければならなかった。その際、読み上げる項目ごとに太鼓を鳴り響かせる習慣があり、それからface the musicが「自ら招いたことを潔く引き受ける」といった意味に発展したとのこと。Almost all Americans were angry because the President refused to face the music. (大統領が自ら招いた批判を受け止めようとしなかったので、ほとんどのアメリカ人は腹を立てた) If you continue doing something wrong, you're going to have to face the music. (何か悪いことをつづけていれば、罰をうけなければならなくなる)