stand the test of time という成句はだいたいどの辞書も「時の試練に耐える」と訳してありますが、私たちは普段そんな大仰な言い方はしないと思うのですが、どうですか。さて、standは耐えるという意味がありますから、そういう意味で捉えればいいでしょうが、どうしてtestという語が使われるのかちょっと引っかかります。それについてALTに訊ねたところ、評価したり、価値を測ったりする、measureの意味をtestに含ませてあるのではないかということでした。なるほどそうかもしれません。その時代その時代の評価基準に耐えてきた、と考えれば納得できそうです。ぼくとしては、timeの[t]とtestの[t]と[t]の音を揃えているところが面白いなと思ったりしたのですが……。さて、冒頭で触れましたが「時の試練に耐える」という訳はいかにも英語べったりです。日本語なら「風雪に耐える」とか「長く人々の記憶に残る」といった感じではないでしょうか。 The Beatles’ songs have stood the test of time.(ビートルズの歌は長年人々に親しまれてきました) His record lasted only for 46 days, but his legacy has stood the test of time. (彼の作った記録はわずか46日間しか続かなかったが、彼の偉業は時を経た今も変わらない) 今までを振り返る言い方ですから、現在完了形と相性がいいのだろうと思います。

nit-picking 「つまらないことにこだわる」といった感じでしょう。人の頭からシラミの卵を取る (pick nits)からできた合成語だと思います。シラミの卵はとても小さく髪の毛に強くくっ付いているので、nitpickingをする時には髪の毛を一本一本見て、爪で卵を取らなければなりません。そういうことから、nitpickingには細心の注意が必要なので、人の態度や行動などに対して細かい問題点を探し出し、それを批判するといった意味に発展したのでしょう。「重箱の隅をつつく」とか「あら捜しをする」という日本語がありますが、それに似ている気がします。シラミの卵を一つ一つ摘み出すという意味から、全体を見ずに、ある一部だけに注意を払う、といったニュアンスがあるそうです。たとえば、生徒の作文とか答案とかを添削するときに、90%はできているにもかかわらず、こまかい点に目が行ってしまうのがそうだ、とあるALTは説明していました。find fault withなんかよりも強い言い方と捉えてもよさそうです。なお、Stop nitpicking.のように動詞の場合はハイフォンはつけないようです。If you spent less time nitpicking, you'd get more work done. (もしもつまらないことにこだわる時間を少なくすれば、もっと仕事ができるのに) My mum nitpicks pretty much everything I do — from how I clean the dishes to how I sweep the floor. (皿の洗い方から床の拭き方まで、母は僕がすることをほとんど全部批判する)

now (that ) S+V... は「もう~だから~すべきだ」といった意味合いで使われます。now を使うのだから、時制は現在形だけだろうと思いがちですが、そうとも限りません。ただし、now that~ は常に「今」を含んでいる状況というか、「今」を意識して述べる場合に用いられているという気がします。Now that you are 20, you are responsible for what you do. (あなたはもう二十歳なんだから、自分の行動に責任をもたなければなりません)これはnow thatの例文としてよく目にする典型的な文です。主節もnow that SVも現在形ですから分かりやすいです。Now that the rain stopped, you can go for a walk. (雨が止んだので、散歩に出かけられますよ) この文ではnow that節の時制は過去形になっています。たしかに雨が止んだのは過去ですが、止んだことで「散歩に出かけられるぞ」という「今」を意識しているので過去形が来ても問題ないという風に捉えればいいと思います。 Now that the girls had developed income-generating skills, there was less resistance to educating then. (いまや少女たちが収入を生み出す技術を身につけたのですから、彼らを教育することへの抵抗は少なくなりました) この文ではnow that節にはなんと過去完了時制が使われていますが、少女たちが自活できるようになったという「今」の現状をふまえて過去のことを述べていると捉えればいいのではないかと思います。Now that yoga has become mainstream in America. (今やヨガはアメリカではすっかり定着しています) ここでは現在完了形が使われています。昔はそうではなかったけれど今ではこんなに盛んになった、と今までをふり返るのが現在完了形ですから、現在完了形はnow thatとは相性の良い時制ではないでしょうか。

now (that ) S+V... は「もう~だから~すべきだ」といった意味合いで使われます。now を使うのだから、時制は現在形だけだろうと思いがちですが、そうとも限りません。ただし、now that~ は常に「今」を含んでいる状況というか、「今」を意識して述べる場合に用いられているという気がします。Now that you are 20, you are responsible for what you do. (あなたはもう二十歳なんだから、自分の行動に責任をもたなければなりません)これはnow thatの例文としてよく目にする典型的な文です。主節もnow that SVも現在形ですから分かりやすいです。Now that the rain stopped, you can go for a walk. (雨が止んだので、散歩に出かけられますよ) この文ではnow that節の時制は過去形になっています。たしかに雨が止んだのは過去ですが、止んだことで「散歩に出かけられるぞ」という「今」を意識しているので過去形が来ても問題ないという風に捉えればいいと思います。 Now that the girls had developed income-generating skills, there was less resistance to educating then. (いまや少女たちが収入を生み出す技術を身につけたのですから、彼らを教育することへの抵抗は少なくなりました) この文ではnow that節で過去完了時制が使われていますが、少女たちが自立できるようになった、という現状をふまえて述べている点では「今」を意識していると言えます。Now that yoga has become mainstream in America. (今やヨガはアメリカではすっかり定着しています) ここでは現在完了形が使われています。昔はそうではなかったけれど今はこんなに盛んになった、と今までをふり返るのが現在完了形ですから、現在完了形はnow thatにはピッタリの時制ではないでしょうか。

The drama was nothing to write home about. は「その劇はたいしたことなかったよ」といった意味になります。 aboutが後ろに残る(文法では後置前置詞と言ったりします)のが特徴的です。もちろんabout the dramaとaboutは主語(ここではThe drama)に戻ってかかるのでaboutが後ろにぽつんと残ってしまうのです。このnothing to write home aboutは「とりたてて言うほどではない」「自慢することではない」といった感じですが、直訳すると「故郷に手紙で知らせるほどのことではない」というわけで、発想がほのぼのしているせいか、個人的には好きな表現のひとつです。故郷にいる両親や友達やあるいは恋人にわざわざ知らせたくなるほどのことではないよ、ということから「たいしたことじゃないよ」という意味に発展して使われるようになったのでしょう。”How was your job interview?” “It was nothing to write home about.” (「面接はどうだった」「たいしたことなかったよ」)

normは「標準」とか「規範」といった意味で使われますが、日本語で「ノルマ」というと、一定期間中に割り当てられた作業のような意味で使われたりするので誤解しやすい単語のひとつではないかと思います。normはcapenter's square (矩尺)が語源のようですが、関連語のnormalを意識すると分かりやすいのではないかと思います。ある状態がノーマルな状態だという風に捉えればいいのではないかと。Families of four are the norm in this country. (この国では四人家族が標準だ)これを「この国では子どもを2人作るのがノルマだ」と解釈すると、異常な国の話になってしまいます。It is difficult to impose our cultural norms on people with different background.(異なる背景を持つ人々に、私たちの文化的水準を押しつけるのは難しい)ちなみに「標準」は「一般的」といった意味合いで使われますが、物事の「質」や「価値」に重点が移ると「水準」を使いますから、日本語の使い方の方がやや複雑です。なお、社会的な「規範」の意味としてnormが用いられるときは、普通normsと複数形になることが多いようです。自転車の二人乗りはいけないとか、飲酒運転はいけないとか、いじめはやめろとか、セクハラやパワハラはやめろとか、やっていいことといけないことはいくらでもあるので複数にするのでしょう。多分。 Children and young people throughout time have learned about social norms. (子どもや若者は昔から社会規範について学んできた)

takeの基本的な意味は「物、人に手を置く」ということです。そこから「物や人をつかんで運ぶ」という風に発展します。つかむものが困難なことだったりすると、take onとonを伴って、人が困難や責任をつかんで運ぶということから「特に困難な仕事や責任の重い仕事を引き受ける」というような意味で用いられたりします。I cannot take on any more work. (私はこれ以上の仕事を引き受けることはできない)(早大)I took on extra work only a few weeks ago. (ほんの二三週間まえに、私は余分な仕事を引き受けた)(駒沢大) Japan sometimes seems reluctant to take on global responsibility. (日本は世界的な責任を負うことに及び腰のようだ) さらに、take onはスポーツ、ゲームなどで人と相手する、といった意味でも使われます。この場合のonは単純に「接触」でいいような気がしますが……。A grand master in checkers took on 20 simultaneous matches with Beijing primary-school students. (チェッカーのグランドマスターが、北京の小学生20人を一度に相手にして試合を行いました)(CNN) そのほかに、take on には「帯びる」という意味がありますが、その場合には、何か新しいことを運ぶ、と捉えればいいと思います。This is a question that takes on a special urgency today.(これは今日では特別緊急の必要性を帯びた問題だ)(鳥取大)The trees began to take on autumn colors. (木々が秋の色彩を帯び始めた)秋を運んできた、というわけです。 ともあれ、「~を引き受ける」にしても「~を帯びる」にしても何かが加わることです。仕事を引き受ければ、責任が加わります。その場合onは「不利益」「負荷」のonでしょう。なお、会社などが主語になると「責任や困難を引き受ける」という意味のtake on はemploy (雇う) の意味になります。The company took on no workers last year. (その会社は去年、従業員をひとりも採用しなかった) We should take on more sales staff. (営業の人員をもっと雇ったほうがいい) さらにさらにtake onは「意見」とか「見解」といった意味の名詞としても使われます。This novel is famous for its harrowing take on mass surveillance.(この小説は国民監視の様を苦悩に満ちた切り口で描いていることで知られている) 見解にしろ意見にしろ、自分のほうへ運んできて、意見として取り込む、といったニュアンスがあるのではないでしょうか。