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quit とstopは「やめる」という意味ですが、若干ニュアンスの違いがあるようです。きっぱりとやめるのがquit、一時的にやめるのがstopといった感じがします。タバコを吸っていたころ、quit smokingとよくいわれましたが、stop smokingとは言われませんでした。きっぱりやめて今後吸うなと言われていたわけです。ところで、こどもが悪さをしているとstop itと母親が言って諫めたりしますが、悪さをするのは一時的だからstopなのでしょう。Quit making my job impossible. (仕事ができなくなるようなことはやめてくれ) 言うまでもないことですが、stop同様、quitも動名詞をとります。The rain has just stopped. Let’s go out and play. (雨が止んだ。さあ外で遊ぼう) 雨はstopです。
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rat race 「激しい生存競争」同じネズミでもmouseは小さくてかわいいというイメージがあるので、この意味にはそぐわないのだろうと思われます。したがって、生存競争の場合は野ネズミのrat君が使われます。これは明らかに差別です。が、ともあれ、ratたちがはしごを上がって餌にありつこうと競争している場面をイメージすればいいでしょう。I don’t want to pay rent or a mortgage forever, so my plan was to escape the rat race. (私は延々と家賃や住宅ローンを払い続けるのは嫌いだったのです。だから、私の計画は愚かな競争から抜け出すことだったのです)
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think out of the boxは「型にはまらない考え方をする」という風に訳される成句です。文字通り「箱の中から出て考える」ということですが、Free Dictionaryには、To think of something that is beyond what is considered usual, traditional, or conventional.とありました。ステレオタイプな枠にはまったものの考える方をするのではなく、従来の枠を超えて、新しい発想から物事を眺めるといった感じです。伝統や因習に縛られないという観点からいえば、歴史上の人物としてまず浮かぶのは、織田信長でしょうか。芸術家で言えば、北斎とかピカソとか“think out of the box”な天才といえそうです。なぜboxということばを使うのかと訊ねたことがありますが、boxはcage (「鳥かご」「捕虜収容所」)を連想させるそうで、そんな窮屈な場所から外へでて自由に羽ばたくというイメージがthink out of the boxにはあるのでしょう。You have to think out of the box. We have to change our perception of what is old. という文章に出会ったことがあります。少子高齢化社会で、老いるということがどういうことかを単に老人とか年寄りといった捉え方を超えて、考えていかなければならない、といったような意味でしょう。
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plummet 「おもり」という名詞と「急落する」という動詞があります。鉛の原子記号Pbは、ラテン語のplumbum(鉛)に由来するそうです。plummetの場合も鉛が語源のようです。鉛が重りに使われたことから、「垂直に落ちる」「急落する」の意味に発展したのでしょう。[プラメット]のように発音されますが、動詞の場合もアクセントはplumの部分に置かれます。When the bubble economy finally burst in the 1990s, membership fees plummeted by 90 percent. (バブル経済がついに1990年代にはじけたとき、会員権の価格は90%も急落した) Temparatures plummeted last night. (昨晩は急に気温が下がった) このようにビジネスに関することだけでなく、いろいろな状況で使われています。
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kill offという成句はkillにさらに、去っていく意味のoffをつけて、「完全に消し去る」といった感じを出している気がします。隕石の落下で恐竜が死滅したとか、天然痘でインディアンたちが大量に死んだとかそんなニュアンスがkill offの感じだそうです。ヒトラーのホロコーストもそうでしょう。He tried to kill off the leader of the country. (彼はその国の指導者の殺害を試みた) Rising temperature around the world are killing off coral and sea anemone. (世界的な気温上昇がサンゴやイソギンチャクを絶滅させている)(CNN)
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Students at Belgian Gardens primary school in the Australian city of Townsville are trying to change that situation. (オーストラリアの都市、タウンズビルのベルジャン・ガーデンズ小学校の生徒たちは、そうした状況を変えようとしています) という記事がCNNに載っていました。一見、何の変哲もない文なのですが、Studentsが気になっています。なぜ定冠詞theが付かないのかな、と。オーストラリアの小学校名まで出ているのですからThe studentsと定冠詞がつくのが普通じゃないか、と思うすが。どうでしょうか。このような無冠詞複数形の名詞の扱いに戸惑うことがしばしばあります。
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rampage 「狂暴な行動」ランペッジではなくランペイジのように発音されます。-ageは、たとえば、savage(野蛮)のようにエッジと発音することが多いですが、rampageの場合はをエイジと発音します。この-ageの発音について詳しいかたがいらしたら、教えてください。さて、rampageは語源的にはrave(興奮してわめき立てる)と関係があるようです。狂暴で破壊的な行動を意味します。Hutu extremists began a killing rampage in Rwanda. (ルワンダではフツ族の過激派が虐殺をはじめた) ずいぶん昔の新聞記事ですが、現在、ルワンダはアフリカのシンガボールと呼ばれるほど急激に経済成長しているそうです。成句としてはgo on a rampageという形で使われることが多いようです。A 25-year-old man went on a rampage, stabbing people at random. (25才の男性がでたらめに人々を刺して、暴れまわった) こんな事件が多くなったような気がしますが。