spoil には「台なしにする」という意味の他に「人を大事にする」という意味があります。親切にして大事にしているうちに駄目にしてしまう、ということなのでしょうか。いずれにせよ、「行き過ぎ」に言及するのがspoilだと考えればいいのではないかと思います。Some wives spoil their husbands. (夫を大事にする妻がいる) この場合も大事にされると甘えてしまってダメな夫になるというのでしょう。たぶん。The heavy rain spoiled the crops. (大雨で作物がだめになった) この場合は分かりやすいでしょう。(必要以上の行き過ぎた) 大雨が作物をダメにしたというわけです。There is a wonderful dinner. I feel like I’m being spoiled. (とても素晴らしいディナーです。なんだか贅沢をさせて貰っている気がします) この場合、食事だけでなくワインとかデザートとかたくさん出されて、いたれりつくせりの接待を受けて、贅沢させてもらっている気がするというわけです。このように「台無しにする」という意味から、なにもかも与えて大事に扱う、という風に曲がってしまうことがあるので誤解してしまう恐れのある単語です。

split one’s sides :「腹をかかえて笑う」「笑いころげる」といった意味で使われます。文字通り、わき腹が裂けるほど笑うということから出来た慣用表現だそうですが、sidesと複数になっているのが面白いと思いました。laugh one's head offは頭ですが、こちらはわき腹です。しかも片方だけじゃなく、両わき腹が痛くなるほど笑うというのですから、かなり激しく笑う必要があります。ともあれ、この種の句はどうしても誇張表現になってしまうのでしょう。The members of the audience almost split their sides with laughter. (聴衆はほとんど笑いこけていた)

play down という成句は「ひとや物事を軽く扱う」「真剣に取り組まない」といったニュアンスで使われます。 downは謙虚になるとか丁重になるといった意味合いもありますが、ここでは look down on(見下す)のdown に近いのではないかと思います。playには「演技する」という意味もありますから、そこから「軽く振る舞う」「軽く扱う」という意味に発展したのではないでしょうか。あるALTによるとplay baseballは「野球をして遊ぶ」ことでplay downはplay human beings、つまり「人間をもて遊ぶ」ということから「軽く扱う」「見くびる」といった意味になるのではないか、と説明してくれました。さて、どうでしょうか。そのとき、なんとなく、奴隷制度とかロボトミーとか、はたまたgenocideとか、人権を無視して人間をもてあそんだ歴史を持つ欧米人の発想の一端を垣間見たような気がしたのですが、私たちだって731の歴史を持っているわけで、まさに彼をplay downしたことをいま恥じているしだいです。The company played down their role in the scandal. (会社は、スキャンダルにおける彼らの役割を軽視しました)(英辞郎)なお、downplay と一語にして「軽く扱う」という意味の動詞もあります。During the job interview, you should downplay your weaknesses. (面接のときには、自分の短所はたいしたことないように言うほうがよい)

spin-off(s) :「副産物、副次的効果」といった意味。たとえば、惑星がある星に衝突すると、回転(spin)しながら四方に砕けて散って(off)いく。それが衝突でできた副産物。そんなイメージで捉えればよい、と説明してくれたアメリカ人のALTがいましたが、実際に何度も月に出かけて行った国の出身だけに、スケールの大きな捉え方をするもんだな、と感心した覚えがあります。This spawned some of Google’s most successful spin-offs, including Gmail. (これはGmailをはじめ、グーグルで最も成功している副産物のいくつかを生み出している)なお、spin offとハイフンが落ちて、句動詞になると、「振り落とす」という意味で使われます。回転して遠心力で振り落とすイメージです。The company is considering spinning off its fast-growing e-reader business. (その会社は急成長している電子書籍事業の分離を検討中である。

spike :「急上昇する」の他に「無効にする」などの意味があります。急上昇する場合には、靴のスパイクの山型の⋀からイメージすれば分かりやすいかもしれません。先がとがっていることから急激に増える、というわけです。Divorce spiked in Japan this year. (今年は離婚件数が急増した)Record high temperatures were seen throughout the region today, causing both water and electricity usage to spike. (この地域一帯で今日、記録的な高温が観測され、水と電気の使用量が急増した) 「記事などを没にする」という意味の場合には、文字通り原稿をスパイクシューズで踏みつけるというのでしょう。His copy was spiked. (かれのねたは没にされた) その他に、内緒で酒の中にドラッグをいれたりする意味でも使われます。特に女性は、そんな被害に遭わないために酒場では自分のグラスは常に自分の目の前に置いておくのだそうです。

spectrum :「スペクトル」の他に「範囲」という意味で使われることがあります。語根のspec-は「よく見る」という意味。spectrumは「目を閉じた後でも見えるもの」という意味から「残像」などの意味になったりしますが、見えるものの範囲という意味から「全範囲」「全容」といった意味でも使われます。光の束が続いている光景を思い浮かべればいいでしょう。I like music all across the age spectrum. (私はあらゆる年齢層の音楽が好きなんです) この場合、十代、二十代、三十代......とずっと光の層(ここでは音楽を生み出す、あるいは愛好する世代の範囲) が広がっていく感じです。

speculate :「推測する」根拠や知識なしにあれこれ思いをこらすことがspeculateのニュアンスです。ああじゃないかな、こうじゃないかなとあれこれ推測するというわけです。語根のspec-は「よく見る」ことを意味します。たとえば、respect (尊敬する) は、ふり返ってもう一度見たくなるほど尊敬しているという意です。We speculated that life might exist on Mars. (火星には生物が存在するかもしれないと私たちは考えた) We were speculating that the Prime Minister had to resign after the scandal.(スキャンダルが明るみに出て、首相は辞任するべきかどうか私たちは考えていた)