face to face は 「面と向かって」といった意味で使われます。 I have never talked to her face to face. というと「面とむかって彼女と話したことは一度もない」といった意味。

文字通り顔と顔をむかい合わせてというのでface to faceとなりますが、one on one (一対一で) という言い方があるので、face on faceという言い方はしないのかとALTに訊ねてみたところ、そういう言い方はしないとのこと。one on oneはバスケットから出た用語であり、バスケットは相手と接触するプレーが普通だからonとなるようです。

do the dishes (皿を洗う) のdoは「~をきれいにする」というような意味でしょう。do the roomだと「部屋をきれいにする」do the gardenだと「庭の手入れをする」といった具合です。この手の言い方に登場する定冠詞theは話し手、聞き手の双方に分かっているものを指すときに出てくるtheと考えればいいようです。ここでのthe dishesは食事のときに使った食器に決まっているのでtheがついているわけです。またdishesと複数になるのは、皿だけでなくお茶碗やお箸やコップといった食事に使った食器類を指すからです。You have to do the dishes. (食後皿を洗わなければなりません) You can’t go out and play until you’ve done the dishes. (皿を洗い終えるまで外で遊んではいけませんよ)

face the music は「自ら招いた非難をまともに受ける」といった意味ですが、米国軍隊の兵に対する処罰のやり方に由来する言い方なのだそうです。『アメリカ口語辞典』によると、有罪と決まって隊から追放されるような処罰を受ける者は居並ぶ隊員の前に立ち、罪状を読み上げられるのを聞かなければならなかった。その際、読み上げる項目ごとに太鼓を鳴り響かせる習慣があり、それからface the musicが「自ら招いたことを潔く引き受ける」といった意味に発展したとのこと。Almost all Americans were angry because the President refused to face the music. (大統領が自ら招いた批判を受け止めようとしなかったので、ほとんどのアメリカ人は腹を立てた) If you continue doing something wrong, you're going to have to face the music. (何か悪いことをつづけていれば、罰をうけなければならなくなる)

do one's bestは「最善をつくす」というときに使われますが、bestは最上級だからdo the bestと言ったりしないのかと訊ねたところ、そんな風には言わないとのこと。もし言うとしたら、do the best I canのような言い方になるそうです。定冠詞+最上級とならないのはこの熟語が比較を問題にしていないからでしょう。そもそも他人と比較して最善をつくすなどありえない気がします。ベストをつくすのはあくまで自分の問題であり、他人のことをあれこれ忖度することではないのでone’sとなるのでしょう。ともあれ、定冠詞ではなく所有格が付きます。Now that I have decided, I will do my best to carry it out. (決めた以上、私は最善をつくして実行します)(学習院大)その他に同じような意味で使われているものにtry one's bestがありますが、こちらはtry to do one's bestが短くなったものと考えればいいでしょう。Don't worry about the result. Just try your best. (結果は考えずに全力を尽くしなさい)

自ら進んでやるというよりも、頼まれたらやりましょう、といった消極的な意味合いを持つのがbe willing toのニュアンスのようです。「いとわない」という日本語訳が当てはまる気がします。willingはwillに由来する語ですから、意志によって選ぶ、というニュアンスがあるのでしょう。どちらにするか決める、ということから、絶対これをやる、喜んでそれをやる、といった積極的に物事を決める意味合いが失せて行ったのかもしれません。I’m willing to work on Sunday if it absolutely necessary.  (どうしても必要ならば、日曜日に仕事をしてもかまいません) このように、積極的に進んでやりましょう、というのではないわけですから、条件が含まれることが多いようです。積極的な意味合いを持たせたければ、I’m happy to work on Sunday.などとすればいいでしょう。He is willing to design anything at the request of a client. (お客さんから注文を受ければどんなデザインをすることもいとわない) She was willing to pay as much as ten million dollars for the painting at the auction. これはある私立大学で出題された問題ですが、彼女は喜んで1.000万ドルものお金を支払ったわけではありません。

収賄事件というと、賄賂を受け取った公務員とか議員が集中砲火を浴びますが、もともと悪いのは賄賂を贈った方なのであって、つまり自分の利益しか考えなかった市民なり選挙民なり企業の方なのであって、英語のcorruption(賄賂)という語にはまさにそのことがはっきりと表されている気がします。つまり、賄賂を贈って議員を堕落させる、崩壊させるということからcorruptionが「賄賂」という意味に発展したのでしょう。選挙民あるいは国民の資質を問うているわけです。国民以上の政治はできない、とよく言われますが、corruptionが「崩壊」と「賄賂」という意味を持っていることにデモクラシーを守ろうという想いが込められているような気がします。Despite the corruption investigation, the mayor refused to stand down from his post. (汚職捜査が行われているにもかかわらず、市長は辞任することを拒否した) Golf has become the latest target of the corruption crackdown in China. (中国では、ゴルフが汚職取り締まりの最新の標的となっている)

donate(寄付する)の語源はdoで「くれてやる」という意味だそうです。日本語の旦那とか檀家などもこのサンスックリットのdoから来ているとのこと。ちなみに、旦那はdonorがダンナになったんだそうです。さて、donateの名詞形がdonationですが、彼らはパーティなどで透明の容器にdonationと張り紙をして寄付を募ったりします。個人的には、お札とか硬貨が見えてしまうので、透明の容器はいかがなものかと思いますが、寄付に対する考え方が違うのかもしれません。He made a donation to an elementary school in the Andes. (彼はアンデスにある小学校に寄付した) I used to donate blood on my birthday . (ぼくは自分の誕生日に献血したものだ)