「買い物をする」というときdo some shoppingと言ったりします。このときのsomeはどんなニュアンスなのかALTに訊ねたことがありました。感じとしては、特に目的もなくちょっと買い物をするといったニュアンスのようです。ですから、たとえば、金閣寺を訪ねるとか高瀬舟に乗ってみるとか、何か明確な目的があるわけでもなく単に京都を観光する、というのであればdo some sightseeing in Kyoto でよさそうです。健康のためにそのあたりをちょっと散歩するのであれば、do some walkingでしょうか。「ちょっと」といったニュアンスで捉えればよさそうです。お酒に誘われて、ちょっと今日は用事があるので、と断りたければ、I'm sorry,I have some plans [errands] for today. とか I have some business to do today. とでも告げればいいでしょう。とはいえ、外国人にとって、日本語の「ちょっと」のニュアンスもかなり難しいのじゃないでしょうか。

ファーストフード店なんかで「お持ち帰りですか?」というとき日本人はテイクアウトと言ったりすることがありますが、それってどうなんですかね、とコーヒー専門店MINGOの店主と話をしていたのを思い出して、たまたま浅草へ出かけた際に、二三人の外国人に実際にどんな風に言うのかたずねてみました。オーストラリア人の若いカップルは、「お召し上がりですか?お持ち帰りですか?」は"Do you want it to eat here, or take away?" と言う風にtake awayを使うと言っていました。イギリス英語ですね。こんな場合はFor here, or to go?と言うのでしょう、と何度も訊ねたのですが、オーストラリアではそんな言い方はしないとのこと。思い込みというものはこわいものだとあらためて反省させられたしだいです。I’d like to take it home with me.という言い方もしますよ、と教えてくれたのは上品なハワイ出身の学生さんでした。I'd like to take that out.のようにtake outを使うと教えてくれた中年のアメリカ人もいましたから、日本語のテイクアウトはアメリカ英語の影響かもしれません。とはいえ、I’d like four burgers to go.(ハンバーガーを4つ、持ち帰りにして)というような言い方が個人的には、自然な気がするのですが……。ところで、MINGOは大宮商業高校の目と鼻の先にあります。豆の種類が豊富で、アフリカやアジア産の美味しいコーヒーを味わうことができます。

keep a stiff upper lip は「ものおじしない」「がんばる」「くじけない」といった意味で使われます。文字通り、口をつぐむことから生まれた表現ですが、なぜ上の唇だけなのかとALTに訊ねたところ、口ひげをイメージすれば分かりやすいとのこと。口ひげは唇の上方に髭があるのが普通です。それは上唇のほうが何か威厳があるように感じるからなのでしょう。もっとも、唇の下にひげをたくわえている人もいますが、少数派でしょう。というわけで、「ものおじしない」雰囲気を出すことからupper lipとなったのではないかとのことでした。まあ、そういうことにしておきましょう。Your husband will be OK. Keep a stiff upper lip. (ご主人は大丈夫よ。がんばってね) どうも本来軍隊用語として用いられた表現だそうで、ふむ、ALTの指摘もむべなるかな……。She had to try very hard to keep a stiff upper lip when she failed in the National Bar Examination. (彼女は司法試験に失敗した時、感情を表に出さないで冷静であろうとした)

storeを英英でひくと、place where good are kept for saleとありますから、商品を貯蔵している場所を指すことがわかります。つまり、in storeは「在庫があること」で注文があれば販売できる準備ができているということ。そこからin store for~で「~に備えて」という意味で使われたりします。I keep some money in store for a rainy day. (まさかのときのためにいくらか貯金している)(レクシス) この文でもわかるように、前置詞forはbe ready forのforの感じがします。さて、in storeは「在庫がある」といっているだけで、品物が店頭に出ているわけではないので、実際に品物は見えない。そこから「運命などが待ちかまえている」といった意味に発展したと思われます。店頭には出てないけれど、美味しいものが置いてあるのではないか、何か珍しいものがあるのではないか、あるいはあやしいものを扱っているんじゃないか、などと楽しみにしたり不安になったりすることから「運命などが待ちかまえている」といった意味に発展したのかもしれません。Who knows what is in store for us? (この先私たちに何が起こるかなんて誰にわかるだろうか)Who knows what the future has in store for us ? (我々の将来がどうなるか分からない) A great future is in store for you.(すばらしい未来が君を待ち受けている)(大阪教育大)因みに、ストア派を意味するstoicもstoreと関係があるそうです。商人たちが店を開いていた場所は、ストア派の哲学者たちのたまり場でもあったのかもしれません。当時ギリシャではもっぱら男が買い物をしていたそうですから。

goは他の場所へ行くことを表しますが、会話の部分で「述べる」とか「言う」といった意味で使われることがあります。「行く」と「言う」はどう考えても繋がらない気がします。話の内容が聞き手に「行く」と乱暴に考えることもできそうですが、なんだか間接話法っぽくなってsayではなくtellのイメージになってしまいます。そこでCambridgeを引いてみると、to say ,especially when a story is being toldと説明してありました。特に、何か話がなされている最中に「言う」場合に使われるというのでしょう。つまりgo on to say (続けて言う)が短くなってgoだけが残ったと考えればよさそうな気がします。つまり何か新しいことを言いだすときにこのgoは使われるのではなく、話題になっている話の中途で、その件について続けて言うときに用いられると考えれば良さそうな気がするのですが、どうでしょうか。記者たちに問い詰められて、”I’m not concerned with this matter at all,” he goes, and storms out the room.(「わたしはこの件とはまったく関係ありません」そう言って、彼は部屋から出て行った) なんて光景はよく見かけます。

 step upは「進んで物事に取り組む」といったような意味で使われますが、日本語でも「ステップアップする」などのように「昇進」とか「上達」といった意味合いで用いられたりします。このときのupはhigher level (より高いレベルへ) のようなニュアンスで捉えればいいと思います。もっと高いレベルへ向かって進む、といった感じで。As Trump pulls the U.S. away from the global stage, other world leaders are stepping up. (トランプ氏が米国を世界の舞台から降ろそうとする中、他の国々の指導者は前に進もうとしている)(CNN) ここでのaway from the global stageの中身はパリ協定から離脱することを指しています。

お金をとって貸し出すのはhire outです。ホテルがお客に船を貸し出すのであれば、The hotel hires out boats to guests.といった感じでしょう。貸し出すというと、まず思い浮かぶのが rent outです。こちらは主に不動産を貸し出す意味で使われるようです。 They rent out several rooms to tourists. (旅行者に部屋を貸している) hire outであれ、rent outであれ、outが付くと、お金を払うのではなくお金を取る意味になるところが共通しています。They hire out the room for the night or for the weekend. (部屋を一晩あるいは週末の間、貸し出します)