signature は自分で書いた自分の名前、つまり署名のことですが、その他に「特徴的な」(characteristic) という形容詞があって、ちょっと戸惑ってしまいます。Our signature dish is Chawanmushi. (当店の特製料理は茶わん蒸しです)とかWhat is Kumamoto’s signature food? (熊本の代表的な食べ物はなんですか)などと言ったりして、食べ物に関係するものにsignatureは使われることが多いようです。The café is decorated with Tiffany’s signature robin’s-egg-blue color. (そのカフェはテイファニィの特徴色であるロビン・エッグ・ブルーで装飾されている) 署名は極めて個人的なもので、一人一人特徴があります。というか、特徴的でなければ困るわけです。たとえば、トランプ大統領のsignatureなどはかなり独特ですね。他と区別される特徴的なのが署名ということから、signatureにこのような意味があるのだろうと思われます。

机の上にコーヒーをこぼしてしまい、大慌てで拭き取っていたら、机の隅からDavid Weatherfordのメッセージみたいなのが出てきました。We enjoy warmth because we have been cold. We appreciate light because we have been in darkness. By the same token, we can experience joy because we have known sadness. こういう言葉に出会うと、明暗がくっきりしていて、すっきりします。暖かさ――寒さ、光――闇、存在――非存在、こういった対立を提出したのはギリシャの哲学者パルメニデースなんだそうです。彼は肯定的なものと、否定的なものに分けてものごとを捉えようとしたようです。たとえば、暖かさ、光、存在、喜びなどは肯定的なもの、寒さ、闇、非存在、悲しみといったものは否定的なものといった具合に。そしてのちに物議をかもすことになったのが、「軽さ」を肯定的、「重さ」は否定的としたということでしょう。そして二千年以上も経って、重さ―軽さという対立はあるのか、という問題を小説にしたのが、ミラン・クンデラの「耐えられない存在の軽さ」(The Unbearable Lightness of Being) ということになるのでしょう。ヨーロッパは深いですが、David Weatherfordの方が単純で生きやすい気もします。

long for ~ (~を切望する) は本来、距離を表すlongが時間へと転化したと考えればいいのではないかと思います。つまり、long distance ではなくlong timeという風に。日本語にも「首を長くして待つ」という表現がありますが、この言い方(由来は延頸挙踵だそうです)にもlongと同様、距離と時間の融合が起こっていて、面白いなと思います。つまり、首が長いのでlongではなく、長い時間待ち望むのでlongというわけです。There is no one but long for peace and security. (平和と安全を切望しない人はいない)(武蔵大)前置詞forは「期待」でしょう。不定詞がつづくと、「~することを強く望む」といったニュアンスになります。He longed to be left alone. (彼はそっとしておいてくれるように切に望んだ)

little by little (少しずつ )はgraduallyということですが、少しはあるのだから、a little by a littleではないかと思いがちですが、そうはなりません。これは畳語なので冠詞がつかないのです。step by step, hand in handなどと同じです。byはday by dayなどに用いられる「~ずつ」という意味で「程度・差」を示すと考えればいいでしょう。 Little by little his English improved. (彼の英語は少しずつ進歩した)(立命館)littleはsmallと違って、感情が入るので、「こつこつ」努力している、わずかずつだが進歩している、といったニュアンスを持つのかもしれません。Little by little, my grandson began to feel better. (少しずつ孫は元気を取り戻しはじめた) なおlittle by littleにカンマをつけるかどうかは個人の好みによります。長いと感じたらカンマを打てばいいし、短いと思うのであれば打たなくていいのです。

lift a finger [hand]は通常否定文で「~するのに指一本動かそうとしない」「ちっとも~しない」という意味で用いられます。指を上げるくらい寝ながらでもできるけれど、そんな簡単なことすらしないという意味から出来た表現らしいです。liftは「持ち上げる」ですが、「持ち上げてある方向へうつす」という意味にも発展します。He won't lift a finger to help me.(彼はいっさい私を手伝おうとしない) fingerの代わりにhandを用いることもありますがfingerを用いるのが普通だそうです。His girlfriend was in trouble, but Masaru never lifted a finger [hand] to help her. (まさるのガールフレンドが困っていたが、彼は彼女を決して助けようとはしなかった)同じような表現にlend 人a handがあります。こちらはhandのみが使われ、lend me a fingerとは言わないとのこと。Would you lend me a hand with my homework? (宿題を手伝ってくれない) lift a fingerにはちょっと指を動かすだけでいいのにといったニュアンスがあるのに対して、lend~ a handのほうはものを頼む場合に用いられるのが普通のようです。日本語にも「手をかす」「手をさしのべる」「手助けする」など同じような言い方がありますから、発想は同じなのかもしれません。

Oil is not $115 a barrel but hovering at $50. (石油価格は1バレルあたり115㌦ではないが、50ドルあたりにとどまっている) この場合、正確に50㌦といっているのではないわけです。上げ下げが予測されて流動的だという場合にこの文のように、hoverが使われることがあります。

lineには「線」とか「列」の意味以外にもたくさんの意味がありますが、「在庫品」「製品」「仕入れ品」といった意味でも使われます。ずらっとならんでいるということからこのような意味が生まれたのでしょう。I am sending some brochures for the line of office furniture. (オフィス用家具のパンフレットを送付させていただきます) この文の場合、オフィス用の家具がずらっと紹介されているパンフレットといった感じでしょう。Please look over our full line of products. (弊社の商品を一通りご覧ください)