peruse は「精読する。熟読する」 といった意味。こなれた日本語でいえば「じっくり目を通す」といったところでしょうか。perはperfectで「完全に」それにuseがついたもので、「完全に使い切る」というのが原義。発音はパユーズではなくパルーズ[pərúːz]といった感じ。完全に擦り切れるまで本を使うというような意味から「じっくり読む」「丹念に読み通す」といった意味に発展したのでしょう。He took the letter and perused it. (彼は手紙を手に取って、じっくり目を通した) Please peruse this file at your leisure. (暇なときにこのファイルをじっくり読んでください) I spent the weekend perusing Dangling Man. (ぼくは『宙ぶらりんの男』を読んで終末を過ごした) ちなみに『宙ぶらりんの男』はソールベロー(Saul Bellow)の作品です。Bellowの作品ではThe Victim(『犠牲者』)が個人的には一番好きです。暇なときに(at your leisure)精読して(peruse)みてはどうですか。なお、名詞形はperusal(熟読)となります。arrivalと同じ語尾の名詞形です。They wanted copies of the will faxed over for their perusal. (彼らは遺書を熟読できるようにそのコピーをファックスで送って欲しかった)

ある特別なことに感謝とかお礼をするような場合に使われのがpay tribute to~という成句です。tributeはtribe(種族・部族)と関連のある語ですが、それが「ささげもの」とか「貢物」といった意味をもつのは、部族間の戦で敗けた部族が自分たちの部族の保護を約束してくれた勝った部族に対して、支払ったお金なり品物なりを指していたからではないかと思います。そういう意味では、「見返りを与える」という意味が原義であるpayという語とは、いわば相性が良くて、そのためこの成句にpayが使われているのかもしれません。The mayor paid tribute to the firefighters’ rescue work. (市長は消防士たちの救援活動に敬意を表した) Our city will have a reception to pay tribute to the work of the committee. (市は委員会の働きに感謝して歓迎会を開きます)  The event was part of a festival paying tribute to the watermelon harvest. (このイベントはスイカの収穫を祝う祭りの一環だった) German chancellor Angela Merkel paid tribute to the unforgettable night, a quarter century before, when the wall came tumbling down. (アンゲラ・メルケル独首相はその忘れがたい夜、四半世紀前壁が崩壊した夜、に賛辞を贈った) 退任後もメルケルさんには活躍してもらいたいですね。

 

mill はコーヒーミルという日本語になっていますが、原料となるものを製造する工場を指します。a cotton millであれば、洋服の材料になる糸を作る工場であり、paper millであれば、紙、steel millであれば鉄鋼、wood millであれば木材、といった具合です。それらを素材として製品を作る工場がfactoryです。

pave the way for [to]~は 「~への道を開く」という意味ですが、文字通り「その道を舗装する」つまり、「舗装して楽に通行できるようにさせる」という意味から生まれた表現です。道路を舗装すれば、通行がずっと容易になるということから、何かをすることがこれまでよりもずっと簡単になるという含みがあると思います。前置詞はtoとforを伴いますが、toはlead toのtoでしょう。「期待」のニュアンスがある場合はforをとると思います。たとえば、戦争への道を開く、といった場合にはpave the way to warですし、成功への道を開くという場合はpave the way for successといった具合に。Biotechnology will pave the way for the bioecology ear. (バイオテクノロジーはバイオエコロジー時代への道を開くだろう)(神戸大)

「小児科医」のことをpediatricianといいます。語根のpedoは「子ども」の意味だそうです。さらにその大元のpeu-はfewと関係があって、「少ない」とか「小さい」の意味だったそうです。子どものケアをするわけですから、-iatric-はtreatと繋がりがあるようです。ともあれ、こんな難しい語が出てこなければ、a baby doctorと言えばいいことですが。発音はピーディアトリシァン[pìːdiətríʃən]といった感じで発音されます。いわゆる三味線語尾が付いていますから、その前の-ri-の部分にアクセントがきます。When I visited the pediatrician with my grandson in my neighborhood, there were a lot of toys to play with in the waiting room.(孫を連れて近所にある小児科を訪れてみると,待合室に子どもたちが遊べるおもちゃがたくさんあった)

名詞のdamageは「損害」という意味ですが、「損害賠償額」という意味ではdamagesと複数形になります。賠償額を支払う側と受け取る側で交渉が行われるから、相互複数と考えればいいのではないかと思いますが、ビジネスに関して無知なので、まったくの当てずっぽうです。ただし、賠償額が100円だろうと100万円だろうと、50億円だろうと、具体性を帯びるので複数形になると考えることはできそうです。The cigarette maker will pay damages in a personal injury suit.(タバコ会社は個人の損害訴訟で賠償金を支払うことになった)なお、「損害賠償金を要求する」という場合はclaim damagesとなります。He claimed damages against the company. (彼は会社に損賠賠償請求をした) 言うまでもないことですが、日本語の「クレーム」は英語のclaim (要求する) からきているわけですが、かなりニュアンスが異なります。簡単にいえば、「クレーム」は不平・不満・苦情(complaint)ということでしょう。一方、claimは日本語の「クレーム」が意味する「苦情・不平」の意味として使われないと考えた方がよろしいと思われます。ちなみに、damageはひとに対しては使われません。今年は台風が直撃してかなり被害が出ましたが、その場合は、The big typhoon has resulted in massive damage to Japan. であってdamage to peopleとかdamage to usなどのように人に対しては使われないようです。

pasteurize は、牛乳・チーズなどを低温殺菌するというような時に使われますが、低温だからといって0度とか10度や20度ではありません。Cambridgeをみてみると、to heat something, especially milk, at a controlled temperature for a fixed period of time in order to kill bacteriaとあります。細菌を殺すために一定の時間加熱するというのですが、牛乳の場合は62度~65度で30分間加熱殺菌するのだそうです。ワクチンの予防接種で有名なパスツール(Pasteur)はワインの腐らない方法ーーこれが低温殺菌法といわれたものらしいですーーも研究したそうで、この語は彼の名前に由来するとのこと。パスチュライズˈ[pæs.tʃə.raɪz]のように発音されます。You have to pasteurize milk before dinking it. (飲むまえに牛乳を低温殺菌しなければなりません)  This pasteurized milk is safe (この殺菌されたミルクは安全です)