tourism :「観光事業」「観光旅行」 tourはコンパスのような円を描く大工道具を意味するギリシャ語トルノスが語源だそうです。コンパスで円を描くように各地をぐるりと回ってくるということから、観光の意味に発展したのでしょう。etymologyを調べてみると、turnと関係が深く、出かけて元に戻る (turn) のがtourということ。それに行為などを示す名詞語尾 (たとえばbaptismとかterrorismなど) の-ismがついて、旅に出る行為ということからtourismとなったのだろうと思われます。旅に出ることが盛んになり、社会的現象になると、当然経済活動が活発になります。そこから、「観光事業」といった意味に発展していったのでしょう。Tourism is a major business in Kyoto. (観光は京都では重要な事業だ) 因みに旅を意味するtravelはフランス語のtravail (仕事)からできた語で、苦労して働く、というのが原義だそうです。セルバンテスドン・キホーテを持ち出すまでもなく、中世は旅をするのは、とても大変で骨の折れる仕事だったことがこのtravelからも想像できます。

 ふるさと長崎にカジノを誘致する話が持ち上がっています。西海国立公園の美しい海や山を崩して、ハウステンボスという空虚な見世物小屋を作っただけでは飽き足らなくなったのでしょうか。自然を壊したあとに、今度はカジノを作って人間の精神を壊そうとしている。そんな気がしてならないのですが……。金儲けやギャンブルはtravailではありません。

top 「~を超す」という意味の動詞があります。普通、高さや重さや温度などが、ある数値を超えるといった意味で使われたりします。おそらく山の頂上に立てば、山の高さを超えるわけで、そこからこのような意味に発展したのではないでしょうか。The temperature topped 30 in Kyoto. (京都では気温が30度を超えた) 昨今では35度を超えてもニュースにさえならなくなってしまいました。確かに、夏の京都は暑いですが。He topped the old record by two seconds. (彼は2秒縮める新記録を打ち立てた) この場合、今までの記録のその上に上ったというわけです。このように、topはただ単に一番上というのではなく、次々に上に上っていくというニュアンスを持っている気がします。ここでの前置詞 by は「差」を表すときに使われる byです。The childhood obesity rate is becoming widespread, topping 10 % last year. (子どもたちの肥満率は広まっており、昨年、10%を上回った) Turnout among expatriate voters is expected to top 90 percent of those who registered. (在外投票者の投票率は、選挙登録者の90%を上回ると予想されています)(CNN) これはイラクでの最初の選挙を報じた記事からの抜粋ですが、当時イラクの人々が国家再興にいかに意欲的であったかを窺い知ることができます。残念なことに、今のイラク汚職が大きな問題になっているそうですが……。I like to top the spaghetti with some smoked almond. (最後にスパゲッティに炒りアーモンドを添えて仕上げます) この文のように、topは「仕上げる」といった意味でも使われます。最後の頂 (top) をアーモンドで締めくくる、というわけです。日本語のトッピングはたぶんこのtopに由来するのだろうと思いますが、ちょっと意味合が曲がっていませんか。

to the point :「要領を得た」going quickly to the point (すばやくその点に達する)が短くなったと考えればいいのかなと思っています。つまり、要領がよければ、すばやくその要点に到達できる、ということから生まれた表現ではないでしょうか。In public speaking, one should be short and to the point. (人前で話すときは、手短にそして要領よく話すべきである)(慶応大) 反意表現として、beside the pointwide of the markなどがあります。Your comment is beside the point. (あなたの意見は検討はずれだ) Your guess is wide of the mark.(あなたの推測は的を外れている)(東大)wide of the markのofはoffと捉えればいいと思います。もともとoffからofは生まれた前置詞ですから。ちなみにwideは本来「離れている」という意味です。そこで、「この部屋は広い」というつもりで "This room is wide."と言うと、「この部屋は離れている」という意味になってしまいます。部屋が広いという場合は、This room is large.でしょう。largeは基本的に二次元、つまり面積を問題にします。

to one's heart's content :「心ゆくまで」直訳すると「こころが満足するまで」となりますが、なんとも詩的で素敵な句です。シェイクスピアかロマン派の詩人が口ずさみそうではないですか。この表現で最も特徴的で印象的なのは heart's とアポストロフィ(')sになっているところです。heartが満足すると、あたかも「こころ」が生き物であるかのようにーーもちろん、実際、「こころ」は一瞬一瞬をとどまることなく生きているのですがーー 使われています。いわゆる一種の擬人法として表現されているわけです。この成句のように、抽象名詞に-'sをつけるのは古典派やロマン派の詩などに頻繁に見うけられるもので、そのため今でも詩的な響きを感じさせるのではないかと思います。特にこの形でよく現れるのは、world, life, nature, heart, soul, spiritなどです。He was enjoying himself to his heart's content. (彼は心ゆくまで楽しんでいた)(早大)前置詞toは「結果」あるいは「到達点」を示すtoでしょうか。などと文法臭いことをいうのは、この句のもつromanticismをしらけさせる気さえしてしまいます。We talked to our heart's content. (私たちは心ゆくまで話した)

to make matters worse :「さらに悪いことには」普通挿入的に使われます。mattersと複数になるのは、同時に起こることが複数あるからだと捉えればいいでしょう。 My car broke down on the way, to make matters worse, it began to rain.(車が途中で故障して、さらに悪いことには、雨が降り始めた)この文の場合、車が故障したことと雨が降り出したことが同時に起こったわけです。ですから、mattersと複数形になるわけです。同意表現に、what is worseというのがありますが、こちらは、いわゆる関係代名詞whatに導かれた名詞節と捉えると「さらに悪いこと」という意味になるのですが、この節の面白いところは、それが「さらに悪いことに」といった、いわば付け足しのような言い方 (文法っぽくいえば副詞的意味)に変わる点ですね。I was tired and, what is worse, I was sleepy. (私は疲れていた、おまけに眠かった) なお、挿入の場合、それが句であろうと、節であろうと、始まりと終わりにカンマをうつことを忘れないようにしましょう。

to a ...degree (extent):degreeやextentを修飾する語に左右されますが、とりあえず「~の程度まで」といった感じ。toは「~まで」という「限界や程度」を表すときのtoでしょう。不定冠詞 a は a specific point の意味で「ある特定の点」を指すと考えればいいのではないかと思います。程度や段階のある一点を示して、その点まで、その程度まで、と捉えればいいのではないでしょうか。You have eased my mind to a great extent, doctor. (先生、あなたは私の心をとてもほっとさせてくださいました)(慶応大)このように何らかの効果があったという場合にはextentが多く用いられているようです。単にa great dealとかa lotですんでしまうところを、to ~ extent (degree)を使うと、何となく上品な、場合によってはキザな響きになるような気がします。この他に類似表現として、to some [a certain] degree [extent](ある程度は)などがあります。This disease is preventable by immunization to some [a certain] extent. (この病気は予防注射である程度防ぐことができる) The actual costs might overrun the budget to some extent.(実際にかかるコストは有る程度予算をオーバーするかもしれない)

titan :「巨大企業」 ギリシャ神話に登場するタイタン族 (Titan) に由来するようです。あの氷河に激突して沈没してしまったタイタニック号 (the Titanic)もこの語から取られたのでしょう。The internet search titan Google has topped a list of the best places to work in America. (インターネット検索大手のグーグルがアメリカで最高の職場のトップを飾った)

さて、浦和西高校のMさん大学合格の連絡ありがとうございました。そして、おめでとうございます。I hope everything will go well with you! がんばってください。