takeの基本的な意味は「物、人に手を置く」ということです。そこから「物や人をつかんで運ぶ」という風に発展します。つかむものが困難なことだったりすると、take onとonを伴って、人が困難や責任をつかんで運ぶということから「特に困難な仕事や責任の重い仕事を引き受ける」というような意味で用いられたりします。I cannot take on any more work. (私はこれ以上の仕事を引き受けることはできない)(早大)I took on extra work only a few weeks ago. (ほんの二三週間まえに、私は余分な仕事を引き受けた)(駒沢大) Japan sometimes seems reluctant to take on global responsibility. (日本は世界的な責任を負うことに及び腰のようだ) さらに、take onはスポーツ、ゲームなどで人と相手する、といった意味でも使われます。この場合のonは単純に「接触」でいいような気がしますが……。A grand master in checkers took on 20 simultaneous matches with Beijing primary-school students. (チェッカーのグランドマスターが、北京の小学生20人を一度に相手にして試合を行いました)(CNN) そのほかに、take on には「帯びる」という意味がありますが、その場合には、何か新しいことを運ぶ、と捉えればいいと思います。This is a question that takes on a special urgency today.(これは今日では特別緊急の必要性を帯びた問題だ)(鳥取大)The trees began to take on autumn colors. (木々が秋の色彩を帯び始めた)秋を運んできた、というわけです。 ともあれ、「~を引き受ける」にしても「~を帯びる」にしても何かが加わることです。仕事を引き受ければ、責任が加わります。その場合onは「不利益」「負荷」のonでしょう。なお、会社などが主語になると「責任や困難を引き受ける」という意味のtake on はemploy (雇う) の意味になります。The company took on no workers last year. (その会社は去年、従業員をひとりも採用しなかった) We should take on more sales staff. (営業の人員をもっと雇ったほうがいい) さらにさらにtake onは「意見」とか「見解」といった意味の名詞としても使われます。This novel is famous for its harrowing take on mass surveillance.(この小説は国民監視の様を苦悩に満ちた切り口で描いていることで知られている) 見解にしろ意見にしろ、自分のほうへ運んできて、意見として取り込む、といったニュアンスがあるのではないでしょうか。