毛沢東主席の肖像画が1,250万ドル以上で売られたという記事がCNNに出ていました。The painting of the former Chinese leader sold for just over $12.5 million to a private Asian collector. というものです。ここでは「売られた」のところがwas soldではなくsoldになっています。いわゆるsellの自動詞と他動詞の扱いの問題になるのですが、そのあたりをALTに訊ねたところ、自動詞の場合には値段に重点があるとのこと。つまりこの場合、絵の価格が、1250万ドル以上だったということに重点がある、というのです。ちょっと意外だったので辞書を引いてみますと、確かに自動詞の項目に「物がある価格、金額で売れる、売られる」とありました。少々単純すぎるのではないかと思いましたが、自動詞のsellが価格を問題にしているとはいえそうです。

I have enough vitamin.だとヴィタミンを十分とるといった意味になりそうですが、I have had enough of vitaminだと「ヴィタミンはもうたくさん」といった感じでしょう。have had enough of ~は「もうたくさん」といった強い不満なんかを述べるときに用いられます。I have had enough of his nonsense. (彼のばかなまねはもうたくさんだ)はI've been complaining of his nonsense.よりも語調が強いそうです。この成句の特徴は現在完了形になる点でしょう。この文でいえば、わたしはずっと今まで彼のばかなまねを十分すぎるぐらい見てきてもううんざり、というのですから、現在完了形で、いわゆる「経験・継続」のニュアンスを出しているのでしょう。さらに前置詞ofはbe fed up of (~にうんざりしている) のofの感じがしますが、どうでしょうか。ともあれ、I’ve had enough of you. (もうあなたにはうんざりなんです) こんな風には言われたくないものです。

「~についての報告書」という場合、 report aboutとかreport onではなくintoを伴うことがあります。たとえば、The World Anti-Doping Agency has just released its final report into Russian doping in sport. (世界アンチドーピング機構はスポーツ界におけるロシアのドーピングについての最終報告を公開した) この場合、Agencyは選手たちに対する尿検査をはじめとしてロシア政府機関とのかかわりとか、いろんなことを調べたのでしょう。そこでintoが使われていると捉えればいいと思います。つまりこのintoは、look into, invest intoのような感じで捉えればよさそうです。単にあることについて報道する、あるいは報告するといった場合はreport onでよさそうです。「~について」というとすぐにaboutを考えますが、onが普通なのだそうです。記事なり報告書を書く、つまりペンと紙で伝えるということから接触のonになるのかもしれません。あるいはその出来事にフォーカスするというのでonをイメージするのかもしれません。We reported on the worst places in the world to work as an expat. (国外居住者として働く際に、世界で最悪の国についてお伝えした) They reported on the relations between cigarette smoking and lung cancer. (彼らは肺がんと喫煙の関係について報告した) 

修理する、という意味のfixは食事を用意するという意味でも使われます。色々な食材を合わせることからfixを使うのだそうです。語源をたどると、fixは「作る」の意味ですから、料理をつくるといった意味合いもあるのでしょう。I made some French toast (フレンチトーストをつくった) これをmake a toastとすると「乾杯」の意味になってしまいますから、toastの扱いに注意が必要です。食べるトーストはbreadですから、数えません。乾杯は声に出すので数えるのでしょう。She fixed the children lunch. [She fixed lunch for the children].(彼女は子どもたちにお昼を用意した) このように二重目的(簡単にいえば人、物)をとります。

kindは「親切な」という意味ですから、おおむね人が主語に来ます。たとえば、Aki is really kind, so we like her very much. (アキはとても優しいから、みんな彼女のことが大好きだ) といった具合に。ところが、主語が物事の場合があります。2017年7月号のCNNにクリスティアーノ・ロナウド銅像に関する記事で、The reviews of the sculpture haven’t been very kind. (この銅像の評判はあまり芳しくない)というのがありました。これを、英文通りreviews (批評)を主語にして「批評が優しくない」と捉えると何だか変です。この場合、銅像の鼻がロナウドより大きすぎるとか、目が小さすぎるとか、あれこれ不満をいう人がいるわけで、そういう人たちは、つまり銅像に対してkindではないわけです。ですから、kindはやはり主語はあくまで人であって、物事が主語になっていても、その物事に対して好意的にあるいは批判的に述べる人が、いわば隠れた主語としてその背景にいると捉えればいいのではないかと思います。

speak withは「アメリカ英語」と注釈をつけている辞書がありましたが、個人的にはさほど重要な情報だとは思えません。そんなことよりも、speak toとの違いの方が知っておくべきことがらではないかと思います。 ある人が話しをし、その人以外の人はその話を聞いている、というような場合には、speak toでしょう。たとえば大統領が国民に向かってテレビを通して話しかけるといったような場合はspeak toでしょう。一方、お互いに意見交換したり、話のキャッチボールをするような場合には、speak withが使われているようが気がします。Former U.S. President Barrack Obama spoke with college students at the University of Chicago. この場合、前大統領のオバマさんはシカゴ大学の学生にむかって一方的に話したわけではなく、彼らの意見も聞いたということがspeak withで分かります。

If you work hard, you'll pass. If not, you will fail. (一生懸命勉強すれば合格できるだろう。もしそうでなければ、落第するだろう) この場合、if not =if you don't workということでしょう。 “Have the document arrived?” “Yes, of course, if not, we’d be in big trouble right now.” (「書類は届いたかな」「ええ、もちろんです。もし届いていなかったら、それこそ大変ですよ」) ここではif not= if the document have not arrived yetぐらいでしょうか。さて、if notで厄介なのは、A if not Bのような場合です。このときはAより程度の大きい語(句)がBにきます。He looks more than seventy, if not eighty, years old. (80歳でないにしても70歳以上に見える) このような場合には大ざっぱにAとBの間と考えればいいのではないかと思います。つまり、ここでは70歳と80歳の間に彼は見えるという風に読めば「80歳でないにしても70歳以上に」とBからAに戻るような読み方をしなくてすみます。 Rivalries between England and Scotland and continental Europe have ebbed and flowed over hundreds if not thousands of years. (イングランドスコットランドの間では、何百年、いや、おそらく何千年もの間、対立関係が消長をくり返してきました) この訳のように「A、いやB」のように訳せば比較的簡単に英語を読み進めることができます。この場合も、何百年から何千年の間と捉えればいいのではないかと思うのです。