know-how 「こつ」「専門的知識」日本語にもなっているノーハウですが、動詞(know)と副詞(how)をハイフンで結んで作られたいささか変わった合成語の名詞です。英英にはtechnical expertiseとかpractical  knowledge and abilityと説明してありました。日本語で「こつ」というといくつもありそうなので数えられそうな気がしますが、knowledge (知識)を指すので数えないのでしょう。Designing a computer requires a lot of know-how. (コンピューター設計には多くの専門的知識が必要です) She has acquired a lot of know-how about cars.(彼女は努力して車に関する専門的知識を身につけた) このように実用的、あるいは技術的な知識に関して用いられることが多いようです。I don’t have the technical know-how to repair a computer.(コンピューターを修理するような専門的な知識はぼくにはない)

take up~は「仕事・趣味などをはじめる」といった意味で使われたりします。upはいわゆる前置詞的副詞といわれるものですが、後に~ingが来れば前置詞と捉えればいいというわけです。もっとも、turn upやshow upなどの「出現」のupと考えて何かが始まることを示すと捉えてもいいかもしれませんが……。takeはここでは「時間を取る」という意味。It takes 人+時間 to do ...などに出てくるtakeです。そこから、take upで趣味としての時間を取る。つまり「趣味などをはじめる」とい意味で用いられます。take up walkingは趣味として散歩をすること。I've just taken up yoga. (ぼくはヨガをはじめたばかりです)また、中断していたものをはじめる意味でも用いられます。The teacher took up the lesson where she had left off the week before. (先生は前の週の続きからレッスンをはじめた) さらに「時間をとる」から「場所をとる」というふうにも発展します。 「花見の場所にしては取り過ぎじゃないか」と言いたければ、You are taking up too much room for a cherry blossom viewing party. と言えばよさそうです。 My father has taken up growing roses recently.(父は最近バラを育て始めた)(青学)ちなみに人間やものを育てるのはgrowですが、なぜか「人が育つ」「成長する」という場合には、grow upとupが付きます。

in the light of ~ はかなりフォーマルな言い方だと思います。くだけた文脈でこの成句を見かけたことがないからですが、「~を考慮して、~を考慮すると」といった意味で使われます。定冠詞をつけないで、in light of ~となることもあります。lightは「明るさの源になるエネルギー」を表し、それが知的な明かりを照らし出す「考え方、意見、観点」の意味に発展したのでしょう。前置詞inはin terms ofのinなどと同じように考えてもいいでしょうし、lightを強めていると捉えてもいいのかなとも思います。In the light of the rapid changes of the world, we also have to change our ways of living. (世界の急速な変化を考慮すると我々もまた生活様式を変えなければならない)(立命館

 

How come~ ?は 「どうして~なのか」といった意味ですが、whyと同じ感じで捉えればいいと思います。ただし、How come の後は平叙文の語順になるのが特徴的です。ひょっとするとHow does [did / has] this situation come about that S+V...(どうしてこのような状況が起こるのか)が短くなったのかもしれません。that節でsituationの中身を言っているいわば同格節だと個人的には考えています。だから、すでにHow comeの中に疑問文が成立していますから、後は平叙文の語順になるのではないか、と。さらにhow came...?とかhow has come..? とかhow comes...? などのような形にならず、いつもhow comeになるということも上のように捉えれば納得しやすいのではないでしょうか。How come you didn't come to the gathering yesterday? (どうして昨日飲み会に来なかったの) 

workは「本来の働きをする」「ある目的を果たすために努力する」というのが基本的な意味です。I stayed up all night working on my paper.(徹夜でレポートを作成していました)(早稲田) というのが英作文で出題されたことがありますが、work onは問題を解決(あるいは改善)しようと努力している場合に用いられることが多いようです。前置詞onは「従事・活動」のonと考えてもいいでしょうが、focus onの「集中」の意味合いで捉えてもいいでしょう。いずれにせよ、「接触」が基本的な意味ですから、ある仕事に接触する、つまり取りかかる、ということになります。I’d worked on this project for 20 years. (そのプロジェクトに20年間取り組んでいる) The scientist is working on atomic energy. (その科学者は現在原子力の研究をしている)I am working on some crucial issues. (私は非常に重大な問題と取り組んでいる)Microsoft is working on a mobile robot. (マイクロソフトが移動可能なロボットの開発に取り組んでいる) Engineers are working on software that mimics the response of a driver. (技術者は運転手の反応をまねるようなソフトウエアの開発に取り組んでいる) このように何か特別な問題を研究したり調査したり開発したりしているといった内容の場合には、進行形で用いられることが多い気がします。進行形は段取りをつける、何かと手はずを整えるといったニュアンスを含みますから自然と進行形が好まれるのでしょう。

日本人は時間を「つぶす」と言いますが、英語ではkill timeとなります。killは「命を奪う」という意味ですから、「命」の代わりに「時間」を奪うと考えればいいかもしれません。余談ながら、日本語を学ぶ外国人にとって、「つぶす」という日本語を使いこなすことはかなり難しいんじゃないでしょうか。ともあれ、kill timeは何かに従事することで余った時間を「つぶす」ことをいいます。特に待たされている時間をつぶす場合に用いられることが多い気がします。漠然と時間をつぶす場合はkill time 具体的な時間が伴うとkill+具体的時間となります。I killed an hour or so reading comics. (1時間かそこら漫画を読んで時間をつぶした)I had too much time to kill.(私は時間をもてあました)(青学)We killed a couple of hours window-shopping. (私たちはウインドーショッピングをして2,3時間暇をつぶした)(レクシス) 動名詞を伴う場合にはspendなどと同じようにonとかinなんかが落ちたと考えればいいでしょう。

keep one's fingers crossedという言い方は、中指と人差し指で十字を作る仕草をすることから生まれたものです。「成功(幸運)を祈る」といった意味ですが、中指と人差し指を使うのでfingersと複数になります。I'll keep my fingers crossed for you. (成功を祈るよ) Keep your fingers crossed that I get the jo(その職につけるように祈ってください)同じような意味で使われるのがGood luckですが、この句で思い出すのは、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』("The Catcher in the Rye" ) の主人公ホールディンがこのGood luckという言い方に不快感をおぼえる場面です。たしかに、この句には「きっとうまくいくよ」と相手を素直に元気づける意味合いもありますが、状況によっては「まあ、ダメだろうけど、せいぜい頑張るんだね」といったニュアンスもあるのでkeep one's fingers crossedの方が、ひとを励ましたりするようなときには無難ではないかなと思います。