He is a very good person at his core.というと「あいつは根はとてもいいやつなんだ」といった感じでしょうか。at one’s coreは「根本的には」といった意味ですが、中心になる部分といった意味合いでcoreをとらえればいいと思います。This apple is rotten at the core.だと「このリンゴは根っこが腐っている」とは言わないで「このりんごは芯が腐っている」と普通いいますから、こちらの方が中心部分のcoreのイメージが出ています。なお、これをThis apple is rotten at its core.とも言うそうですが、物の場合には所有格を付ける必要はないとのこと。日本語は「根本的」とか「根っこは」とか、本質の喩えとして、植物の根をイメージする気がします。一方、英語のcoreは人や物の中心をイメージするようです。

前回look down on~を取り上げましたので、今回は前回で少し触れたlook up to ~を取り上げます。 この句は、自分より背の高い人間を見上げるというニュアンスはなく、(そうだと、背の高い人間はすべて尊敬されることになってしまいます)自分より能力的に高い人を見上げるといったニュアンスから出来たと考えればいいと思います。All his followers looked up to him as a wise and courageous man. (彼の信奉者たちは彼を賢明で勇敢な人だと尊敬していた)(慶応)She looks up to me and admire the method and works really hard at it. (彼女は私のことを尊敬し、私のメソッドを高く評価して、一生懸命実践してくれている)

look down on [upon]をCambridge Dictionaryでは to think that you are better than someoneと説明してあります。この動詞句は「~を見下す」とか「軽蔑する」などと普通訳されたりしますが、ケンブリッジによれば、ひどく劣ったものとして見下すといったニュアンスはなく、自分がひとよりも優れていると思うこと、となります。そこで、Collinsにあたってみると、 to consider that person to be inferior or unimportant, usually when this is not true.という解説が載っていました。ほんとうはそうではないのに、という含みがあるということを、I wasn't successful, so they looked down on me. という例文を上げて説明してあります。試験に合格しなかったとか、商売がうまく行かなかったとか、そんなことで人を自分よりも低くみるというのか、look down onというわけです。同じような意味をもつdespiseは嫌悪感や怒りなどの気持ちを含みますが、look down onにはそのような意味合いはないようです。前置詞onは、負荷、あるいは不利益のonと考えればいいのではないでしょうか。ひとから見下されるって、悔しいことだし、けっしていい気持じゃないですから。You should never look down on a man merely because he is poor. (あなたは人を単に貧しいからといって見下してはならない)(慶応) She would always be looked down on because she was poorly educated. (彼女は教育を受けていないという理由でいつも見下されていたものだ) 反意語はlook up to ~と前置詞はtoになります。尊敬されることは負荷ではないということなのでしょう。

liquidateは 「負債を精算する」といった意味ですが、語根のliqu-は「液体」の意味。liquid(液体)のliqu-です。砂糖や食塩を水に溶かすと、最初白く濁っても、掻き回すうちに、透き通った透明な水になります。そういうことから、借金などを水に溶かしてきれいにする、つまり「精算する」という意味として使われるようになったのかもしれません。動詞語尾の-ateは「させる」という意味を持ちますから、液体化させる、という風に捉えたらどうでしょうか。We had to liquidate our assets because of bankruptcy. (倒産で私たちは資産の整理をしなければならなくなった)

write in longhandは「手書きで書く」という意味です。なぜそんな意味になるのかアメリカ人に訊ねたところ、筆記体は文字と文字がつながっているので長くなるからではないか、ということでした。なるほど、とそのときは思いましたが、速記(shorthand)だってつながっているじゃないかと思い返して、どうも釈然としないままです。とはいえ、英語の速記なるものがどんなものか分からないのでなんとも言えませんが、まあ、ともかく手書きは文字がつながっているからlonghandなのでしょう。He wrote a Christmas card every year in longhand.  

live up to ~ は「期待に応える」といった意味で使われます。動詞+副詞+前置詞のコンビネーションですが、upはA dog came up to me.などに出てくる「接近」を表すupでしょう。to は get toのtoで「方向」あるいは「到着点」と考えられそうです。期待されているところへ向かって近づいていくということから「期待に応える」といった意味になると考えればいいのではないかと思います。You ought to live up to your parents' hopes. (あなたはご両親の期待に応えるべきだ)(早大)The Spanish village of Sort, which means “luck” in Catalan, has lived up to its name. (ソルトというスペインの村は、カタロニア語で「幸運」を意味するのだが、その名を裏切らなかった)(CNN)

lick は「なめる」という意味の他にto solve a difficult problem (難しい問題を解決する)という意味があります。動物でも人でも傷口をなめて一時的に応急処置をします。そのようなことから「なめる」→「傷口を一時的に処置する」→「問題を解決する」という風に発展していったのではないかと思われます。She has licked her weight problem. (彼女は体重の問題を克服した)(レクシス) He has licked his hemorrhoids. (彼は痔を克服した)このように病気などにも使われます。 漱石が痔で苦しんだことをふと思い出して、こういう文を作ってしまいました。