of late 「近頃」「最近」 lately, recentlyと同じ意味ですがフォーマルな言い方のようです。前置詞ofは時の副詞句を作るofです。例えば、「近年」はin recent yearsが普通ですが、かつてはof recent yearsが用いられていたそうです。その時を示すofがof lateに残っているわけです。もともとは所有関係を表すofだったそうですから、A’s B= B of Aのof Aの部分が独立したのかもしれません。この所有格ofが副詞の働きをしている一例として、of courseがあります。The days have been getting warmer of late. (このごろはだんだん暖かくなってきている) I have heard nothing from my sister of late. (最近姉から何の便りもない)

spotは「特別な場所」というのが原義のようです。そこから「水玉模様」とか「しみ」などの意味に発展したのかもしれません。「油のしみ」はgrease spot, 「観光地」はtourist spotといった風にa particular placeを指します。このspotには、名詞以外に「見つける」という動詞があります。「見つける」といっても、spotは何かを探して見つけるというのではなく、偶然見つけるというニュアンスを持つようです。言われてみれば、服のしみなんかも探して見つけるものではないでしょう。偶然気づく感じです。Scientists have discovered the most earth-like planet ever spotted outside our solar system. (科学者たちは、太陽系外で発見された中では最も地球に似た惑星を発見した) このようにdiscoverは「探して見つける」感じがしますが、spotは違いなどに偶然気づくといった感じがします。Spotting it early and getting intensive training could help turn dyslexia around. (失読症を早期発見し、集中的な訓練を受けることが、失読症の好転に役立つかもしれません)(CNN) この文でのit=dyslexiaです。 You can spot a teacher by the way he/she speaks. (話し方で教師だと気づくものだ) 自分のことを「先生は……」などと「先生」を一人称使いするあつかましい(?) 先生もいますから。China’s state bank has released a chart to help people spot the fakes. (中国国営銀行は人々が偽札を見つけやすいように図表を公開した) このように「斑点」とか「染み」といった意味で使われていたspotは、なにか際だったもの、目立つものにシミ、つまり「しるし」をつけるという風に派生して、「見分ける」「すぐにわかる」といったニュアンスをもつ動詞に発展したのでしょう。なお「見つける」という知覚動詞として働くわけですから原形不定詞や現在分詞を伴うのだろうと考えてしまいますが、どうも現在分詞だけしか伴わないようです。たぶん、spotではのんびり見ているわけにはいかないからでしょう。When security staff spots people misbehaving, they call down to them. (警備員があるまじき行動をしている人物を見つけたら、その人物に向かって大声で警告を発する)ここでも、何か普通でない、particularなものに気づくというのでspotが使われているのでしょう。Mr. Evans spotted her cheating on the exam. (エバンズ先生は彼女が試験でカンニングしているのを見つけた) You need to learn how to spot phony information. (偽情報をすぐに見分ける方法を身につけることが必要です)

helphelp out の違いをALTに訪ねても、だいたい同じといったぶっきらぼうな返事しか返って来ません。Tom helped me out when I was in trouble. (トムはぼくが困っているときに助けてくれた)とかTom always helps out in the store. (トムはいつも店を手伝っている)といった文を見ると、忙しい人の手伝いをしてやる、困っているひとを支援してあげる、といったニュアンスがあるような気がしますが、helpでも同じだという気はします。副詞のoutはcompletelyとかcarefullyの意味でいいのでしょうが、困難を外に(out) 出す、手を出して、あるいは身体を動かして助け出す(out)、といった意味合いがあるような気もするのですが、よくわかりません。Now, counterterrorism officials are helping out in this case. これはロシアの元二重スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏と彼の娘が襲撃されたときのCNNの記事ですが、英国のテロ対策当局がこの事件で支援に乗り出した、といった感じでしょう。 We should hire a temporary employee to help out. (臨時の従業員をやとって手伝ってもらうべきです) このようにビジネスに関する場面でも使わることが多い気がします。More kids are helping each other out. (お互いを助け合う子どもたちが以前よりも増えている) なお、お気付きのように、自動詞としても他動詞としてもこの成句は使われます。他動詞として働く場合は、代名詞が目的語になると、この文のようにサンドイッチ(動詞+代名詞+副詞)にしますが、すべてがそうなるとは限らないところが、動詞+副詞のコンビネーションで厄介なところです。

marketは日本の「市」に似て、決められた日時に売買をするというのが原義だそうです。動詞では「商品を市場に売り出す」平たく言えば「売り込む」(buy)といった意味があります。The company markets its new cosmetics internationally. (その会社は新しい化粧品を国際的に売り出す)   The WHO wants to stop the product (electronic cigarettes) being marketed to children. (世界保健機構は子どもへの電子タバコの販売を防ぎたいと考えている) この文のように market A to Bで「AをBに売る」という意味で使われます。この場合は、Bに狙いをつけて売るということですから、to Bとなると考えればいいでしょう。このようにmarketは単に売るのではなく、広告をだしたり、宣伝をしたりして売るといったニュアンスがあるようです。

obliterate 「末梢する」とか「痕跡をなくする」といった意味ですが、語根のliterはletterの意味で、文字を消すというのが原義だそうです。ob=againstと語源辞典にはありましたが、rob A of Bなどに出てくる「奪う」という意味のofと捉えてもいいのではないかと思ったりもします。あるいはobstruct(ふさぐ)のobかもしれません。The tornado obliterated the village. (竜巻が村を壊滅させた)(レクシス) The hotel had been obliterated by the tsunami. (そのホテルは津波で跡形もなくなった)

Speaking of pay gaps, female employees at Britain’s Tesco supermarket group are seeking back pay, claiming they were paid much less than their male counterparts for similar jobs. Reports say it could result in a $5.6 billion payout for that company. (賃金格差と言えば、英国のスーパーマーケットチェーン、テスコで働く女性従業員らが、同様の仕事をする男性従業員に比べて給料が著しく少ないと主張し、差額分の未払い給料の支払いを求めている。報道によると、この主張が通れば、テスコの支払い額は56億ドルに上る可能性がある) これはCNNからの抜粋ですが、一つだけ気になった語がありました。payoutです。支払いであれば、paymentでもよさそうなのに、と思ったからですが。payoutは「支出金」とか「支払い」と辞書に載っています。たとえば、insurance payout (保険金の支払い) のように。念のためCambridge Dictionaryで調べてみると、a large amount of money that is paid to someoneのように説明されています。支払う額が多いということは分かりましたが、paymentとの違いがよくわかりません。そこで留学生に訊ねたところ、しぶしぶ出す感じがoutのニュアンスだと説明してくれました。それでなるほどと納得した次第です。つまり上の記事でいえば、テスコ側は賠償金を支払いたくはないのです。それを支払わざるをえないので単なるpaymentとは違うというわけです。簡単に言えば、会社側がしぶしぶ外へお金を出すからoutだということ。そしてそのしぶしぶ支払う金がpayoutだということでしょう。

How capable you are, you cannot always be right. これはある私立大学の下線部誤文訂正問題ですが、下線部Howを譲歩にするHoweverに直してHowever capable you are, you cannot always be right. (どんなに濃緑があっても、常に正しいとは限らない)が正解になります。ここで気になるのは、なぜ大学側はcannot alwaysに下線を施しているのか、という点です。頻度の副詞――always, often, sometimesなど――は一般動詞の前、be動詞の後ろとポジションが決まっていますから、cannot be always right…となるはずだが、などと真面目な受験生を迷わせたいために作ったのではないかと邪推したくなります。確かに頻度の副詞は be動詞の後、一般動詞の前ですが、助動詞がはいると助動詞の後に来ます。したがって、cannot always be rightがいわば正しい言い方になります。ともあれ、このような問題はどうも好きになれません。