2倍のスピードで、という場合、at the double speedとはならず、at double the speedとなります。定冠詞がdoubleの後に置かれるのでちょっと違和感を覚えてしまいます。「2倍の」という形容詞のdoubleが直接修飾する名詞の前に来ないで、冠詞が間に入るからです。定冠詞theや不定冠詞a, anなど限定詞の前に置かれるので文法では前置限定詞と呼ばれたりします。代表的なものは、all, half, both, suchなどです。たとえば、all the peopleとかhalf an hourなどがそうです。That is almost double the speed of the fastest train in the world, the Japanese maglev. (これは、世界最速の電車である、日本のリニアモーターカーの2倍の速度だ) 発音やリズムの関係からこのような形になったようですが、慣れるしかないでしょう。That’s more than double its original plan. (当初の計画の2倍以上だ) このように定冠詞だけでなく所有格も来ることがあります。

 

simply put  「ひとことで言うと」「簡単に言うと」という日本語に相当する成句。簡単にそしてはっきり言えば、といった感じ。to put or say it simplyが短くなったものと考えればいいでしょうが、副詞のsimplyが動詞putの前に出ます。so to speakやfrankly speaking なんかと同じ現象です。Simply put, I am very disappointed. (はっきり言って、とてもがっかりした)Simply put, the burst of neurotransmitters ―that dopamine-drenched craze  that leads to those feelings of mad love―starts to wear out. (簡単に言えば、神経伝達物質のほとばしり――すなわち、激しい恋愛感情に導くドーパミンが溢れ返っている熱狂的な状態――が徐々になくなり始めます)(CNN) これは恋愛感情についての記事ですが、恋愛は神経伝達物質と深く関係しているのだそうです。野暮な研究をする学者もいるものです。神経組織を研究する学者のことをneuroscientistと言いますが、電子顕微鏡を覗いてもloveやpassionの正体は捕まえられないと思うのですが……。

手話のことをsign languageと言いますが、signは手の動きが原義です。野球で、キャッチャーがサインを出すときの手や指の動きをイメージすればいいでしょう。自分の手で書くのがsignature (署名) 、指名するのがdesignate, 辞職の承諾に署名するのがresign(辞職する)などなど、手の動きに関するものにsignが現れます。そこから、signは先を示すものという意味が生まれ、「兆し」といった意味でも使わるようになったと思われます。This is a great sign in society, I think. (これは社会にとっていい兆しとなるはずだ) また、同意の署名をして参加する場合に使われるのがsign up forです。副詞のupはbe made up ofのupで「いっしょに」といった意味でしょう。あるいはup to youに出てくる相手に委ねるときのupかもしれません。あるいはcatch upkeep upの「ついていく」ときのupと考えてもいいかも。Sign up for Yoga classes. (ヨガクラスに登録してください)

get on the wrong side of someoneは「(人)に嫌われる、(人)の機嫌を損ねる」といった意味ですが、悪い結果を招くからいやでもやった方がいいよ、という含みがあるそうです。たとえば、Don't get on the wrong [bad] side of the boss, or you'll be sorry. (上司の機嫌を損ねないように、でないと後悔するよ) この場合だと、上司の機嫌をそこねると、昇進にひびくとか、昇給や査定に響くというのかもしれません。 I don't like going drinking with my boss but I don't want to get on the wrong side of him. (上司と飲みに行くのが好きじゃないけど嫌われたくない) この場合、度量の狭い上司なのでしょう。ところで、この句に出てくるget onはget on the busのget onと同じように捉えればいいとのこと。someoneを乗物に喩えて、その人(場所)のwrong side あるいはbad side もしくはother sideに乗るという風に捉えればいいのかもしれません。

side effect は「副作用」という意味ですが、疲労、痛み、嘔吐、悪寒、脱毛などなど、副作用は薬によってさまざまですから、複数形で使われるのが普通です。effectは通常原因に対する「結果」を意味します。しかし、ここでのeffectは「薬の作用」ということですから、頭痛とか吐き気といった結果を引き起こした薬、つまり「原因」も同時にも注目させます。そういうわけで、なんとなく、このsideはside by side(並んで)のsideに近い意味のような気がします。薬と副作用が並んでいる感じがするからです。”Does this medicine have any side effects?” (この薬は副作用はないのですか) Did you ask your doctor about side effects? (副作用についてお医者さんに訊ねたの?)

touch and go 「きわどい」もともと船が狭いところをすり抜けるようにして進むという意味の海事専門用語だったそうです。船が両岸や底に触れるか触れないかのまさにきわどい感じを意味することから、「きわどい」といった意味で使われるようになったのでしょう。それが今日航空用語みたいに使われ出したのはゼット機の影響なんでしょうね。たぶん。一度飛行機を滑走路に着陸させてから減速せずにそのまま加速させて飛び立つ訓練のことをtouch-and-go というそうです。そこから「すれすれの」「きわどい」「危ない」などの形容詞としてtouch-and-goという合成語が使われるようになったらしいです。touch and goと合成語になっていなければ「きわどい状態」という名詞と捉えればいいのではないかと思うのですが、品詞として分析する場合どうもすっきりしない成句の一つです。I thought I was going to win the race, but it was still touch and go.(競走には勝つと思ったけど、まだどう転ぶかわからなかった)  It was touch and go whether we’d go bankrupt. (破産するかどうか、きわどいところだった) It was touch and go whether we would win the game. (その試合に勝てるかどうかきわどかった)(英検)

show A around B 「AにBを案内する」といった意味。「人にものを見せる」のがshowの原義です。そこから、見えるところへひとを連れて行って見せる。つまり「案内する」という意味が派生したのでしょう。 I will show you around the computer room. (コンピューター室を案内しましょう) I have promised to show him around New York.(私は彼にニューヨークを案内してやると約束した)(東京理科大)ちなみに、姿を見せるのはshow up,(出てくるからupなのかな?)見せびらかすはshow off。ぐるっと一周して(around) 場所をあちこち見せるのがshow ~ aroundです。