toot one’s own horn 「偉そうに鼻にかける」Websterにはto talk about oneself or one's achievements especially in a way that shows pride or too much prideとあります。まさに「自慢して鼻にかける」といった感じです。"一日一英会話"というブログにはtoot はラッパなどを吹く、hornは車のクラクションや楽器のホルンの意味。このため、本来は警笛を鳴らすという意味ですが、比喩として、ラッパを吹くように自慢をする、となります、と解説してありました。I think Americans are likely to toot their own horns. (アメリカ人は自画自賛することがおおいようだ) 確かにアメリカ人の中にはいつもI’m greatと思っている人が多いでしょうから、遠慮なくtoot their own hornする人もたくさんいるでしょう。I don’t mean to toot my own horn, but I have the newest PC. (鼻にかけるつもりはないけど、ぼくは最新型のPCを持っているよ) この成句についてALTに訊ねたところ、この句は人に不快感を与えるような言い方で、ひけらかす場合に用いられるので、この文のようにI don’t mean to toot my own horn,(鼻にかけるつもりはないけれど)と前置きして自慢するのが紳士的で角がたたないとのこと。ちなみに「鼻にかける」という言い方は西洋人の「高い鼻」に由来すそうです。ともあれI don't mean to toot my own hornを添えてから、自慢するようにした方がいいでしょう。かど(角)が立たないように、そして、つの(角)を突き合わせるようなはめにならないように。

 

fall behind  「落後する」「遅れる」 He fell behind in the race.の訳として「彼はその競争で落後した」とありましたが、fall behindは落後したというよりも徐々に遅れるというニュアンスのほうが強いようです。一番を走っていても追い抜かれてビリになったらfall behindだし、ビリを走っていてもずっとおいていかれるとfall behindです。つまり、以前よりも落ちている意味合いを持つわけです。どうしてfallを使うのか英国人のALTに訊ねてみたら、つまずくという意味でfallを使うのではないかということでした。確かにfall over a hurdleというと「ハードルに躓いて転ぶ」といった感じです。Studies show boys are increasingly falling behind girls. (研究結果によると、男子生徒は女子生徒にますます後れをとるようになってきているということです) なお、in / on などの前置詞を伴うことがあります。いわゆる「分野」の場合はin,「負荷・不利益」のニュアンスならばonと考えればいいでしょう。He is falling behind his class in English. (彼は英語でクラスの仲間より遅れてきている) くどく言えば、この場合、彼は英語の分野でつまずいているわけです。She fell behind on tax payment. (彼女は滞納した) 税金は負担ですから、onになります。

suggestというと「主張する」とか「提案する」といった日常あまり使わない堅苦しい訳語が載っていることもあって、なかなか軽く使えない語の一つです。中村保男さんの『英和翻訳表現辞典』には、「~しようじゃないか」といった感じで訳すとニュアンスが身近になる、といった主旨のことが書かれてあります。I suggested an Italian restaurant near the station for the party.という例文がCambridgeに載っていますが、これを「パーティは駅の近くのイタリアレストランにしようじゃないかとぼくは言った」とやると確かにかたさがとれる気がします。Few people suggested changing to a car that uses less fuel. (使用する燃料がより少ない車に乗り換えようじゃないかという人はほとんどいなかった)

lock horns:「〈牛などが〉角を交えて戦う」ということから「(…と)意見を戦わせる」という意味でも使われます。日本語にも「角突き合わせる」という言い方がありますが、英語の場合はlockですから、牛と牛の角ががっちり、固く組み合う感じです。be at oddsとか、もっと簡単にquarrelと言っても同じ意味でしょうが、lock hornsの方がよりフィジカルで、生々しさを感じます。His wife and mother are constantly locking horns with each other. (彼の妻と母親はいつも角突き合わせている) Many young millennials or Gen Zs can be found locking horns. (多くのミレニアル世代やZ世代の若者たちが論争する姿を見かける) Gen Zは1990年代半ばから2000年前半の世代を指します。なぜそんな呼び方をするのかALTに訊ねてみましたが、分からないという返事でした。Generation XとかGeneration YとかGeneration Zとかどうも日本人とは世代の区切り方が根本的に違うような気がするのですが……。

outcry 「叫び声」「悲鳴」などの意味の他に「激しい抗議」という意味を持っています。副詞のoutと動詞のcryでできた合成語ですから、大きな声で叫ぶ ,あるいは外へ向って叫ぶ、というのが原義でしょう。それが比喩的な意味を帯びて「激しい抗議」へ発展したと考えられます。a strong expression of anger and disapproval about something, made by a group of people or by the publicとCambridgeにはあります。怒り、不賛成、不満、などの強い感情や意思表示とありますが、特徴的なのは、made by a group of people or by the public, つまりそれが個人的なものではなく、大衆あるいは市民による抗議だという点でしょう。そのため、一時的なものではなく、持続的な抗議、要求、といったニュアンスで使われると捉えればいいのではないかと思います。There was an outcry last year over the limited options for people of color. (昨年、有色人種のための選択肢が限られていることに関して抗議が起こった) Civil rights movement (公民権運動) を引き合いに出すまでもなく、人種差別の問題はずっと続いていますから、ここではoutcryが使われているわけです。Despite international outcry against the practices and low demand, Japan’s fishery agency will permit 227 whales to be caught.  (捕鯨に対する国際的な抗議と鯨肉に対する需要の低さにもかかわらず、日本の水産庁は227頭の鯨の捕獲を許可している)(CNN) Commercial Whaling (商業捕鯨)の問題も三十年以上も続いている問題ですから、outcryというわけです。哺乳類の鯨を槍や銛で殺す日本の漁法は残酷だと言う人がいますが、原潜事故で通常の何十万倍もの高いレベルの放射能を出すことの方がもっと残酷だと、個人的には思うのですが……。

run [do] an errand「お使いに行く」「お使いをする」Cambridgeにはto go out to buy or do somethingとありました。つまりスーパーとかコンビニとか、とにかく外へ出かける、お使いとか、用事といった感じでerrandを捉えればいいと思います。do an errand という言い方よりもrun an errandのほうが普通だそうです。なぜrunを使うのかALTに訊ねたところ、おそらくrunの方が素早く動く、素早く片付ける、といった意味合いを含むからでしょうとのこと。I have to run a couple of errands downtown. Do you want to come with me? (町にお使いに行かなければならないけど、一緒に来る?) このように複数形でも使われます。a couple ofとかsomeとかa fewなどをつけてちょっと用事があるといった感じで使われることが多いようです。I was busy running some errands today. (今日は雑用がいろいろあって忙しくしていました) for 人(誰々のために)を伴うこともあります。I am just running some errands for my wife now. (今ちょっと妻にたのまれた用事をやってるところなんです)

for now 「とりあえず」「さしあたり」言うまでのなく、過去形といっしょには使えません。「今のところは」といった感じで使われますが、またこの次があることを暗示する言い方です。同じような言い方にfor the time beingがありますが、こちらは少し文語のような気がしますが、個人的にはこちらが好きです。for nowの特徴は、状況が変わるまでの間、といった感じで、どこかに未来と今を意識しているところでしょう。There’s enough fuel to keep us going for now. (今のところまだ進めるだけの燃料がある) 将来はなくなるという含みがあるわけです。But for now, NASA is touting Monday night’s success. (しかし今は、NASAは月曜夜の成功を宣伝している最中だ) この場合、そんなことをしている場合ではなくなるだろうという未来のことがあって、しかし今は、と現在に戻ってくる感じです。ちなみに、But forは仮定法で出てきますが、ここでは、But / for nowですから、仮定法とは無関係です。ついでながら、仮定法のBut forは文頭でしか使われません。さて、for nowに戻ります。In the long run, prices are sure to fall, but for now customers have no choice but to put up with a more expensive grocery bill. (長い目でみれば、値段は必ず下がるだろうが、今は、顧客は食料雑貨品の高めの勘定書を我慢するしかない) この場合も将来は値段は下がるだろうということから、今は、と言う風になっているわけです。