segment :使いづらい語の一つです。「何かを分割したもののうち、ひとつの部分」ととらえればいいと思います。あるいはいくつかに分けた部分とも考えたらどうでしょうか。たとえば、みかんの実ひとつひとつはa segment of an orangeです。イギリスはさまざまな階層に分かれていますから、the various segments of societyと言えるでしょう。また、運賃を例にあげると、子ども料金と大人料金に分かれてありますから、これもsegmentです。人間も男(male)と女(female)に分けられますからsegmentですが、その場合はsex(性別)となります。In our regular segment, ‘Your money,’ we’ll take a look at how tourists are stretching their dollars. (レギュラーコーナーの「ユア・マネー」では、観光客がどのようにお金をやりくりするかを見てみます)(CNN) このように「テレビ放送などの1番組」の意味でも使われます。たくさんある番組の一部、あるいは一つというわけです。I think AI will affect all aspects of our lives, all segments of the economy. (AIは生活のあらゆる面、経済のあらゆる分野に影響を及ぼすようになると思う) 簡単にpart (部分) のちょっときどった言い方だと個人的には捉えていますが。    

swear は 善悪両面に用いられる点がとても興味深い。良いことを「誓う」場合も悪いことを「誓う」(?) 場合も同じswearなのですから、どちらなのかは文脈から判断するしかありません。意味のベクトルがお互いに逆方向を向くのは英語にはよくあることではありますが、こんなにも極端なのは珍しなあと思うのです。悪いことを誓う場合には日本語では「ののしる」「悪態をつく」となるでしょう。She swore not to be late. (彼女は絶対に遅れないと約束した)(ジーニアス)He swore at me for being late. (彼は私に「遅刻なんかしやがって、このバカ野郎」とどなった)(スーパーアンカー) スーパーアンカーの訳はとても好きです。訳文を楽しめる辞書ですね。Maybe you should stop swearing at people. (ひとに悪態をつくのはやめた方がいいよ)

surf the Internet  :「インターネットを見て回る」surfは波乗りをするという意味ですが、それがインターネット上でいろいろと検索するといった意味で使われます。ネット上で波乗りをするってどういうことなのかちょっとピンとこないのでネイティブに訊ねてみましたが、判然としませんでした。ひょっとして、あのマウスの動きとインデックスの印の動きが波乗りに似ているのかもしれません。あるいは、矢継ぎ早に押し寄せるWeb上の情報がWaveを連想させたのかもしれません。この表現を最初に使ったのはJean Armour Pollyさんというアメリカ人だそうですが、彼らはスポーツ用語が好きなですね。This system lets you play movies, music and surf the Internet. (このシステムによって、映画や音楽の再生やネットの閲覧ができる)

retainerは「保持者」「保有物」の意味の他に「顧問料」という意味があります語根の-tainはmaintain(維持する)にあるように「保つ」という意味のようです。re-をreturnのreと捉えると、retainは「後ろに保つ」といった意味になり、そこから「留める」あるいは「保持する」といった意味に発展したのかもしれません。ところで、問題は、それがどうして「顧問料」という意味で使われるのか、ということです。今は故郷のオーストラリアに戻って仕事をしているかつてのALTに問い合わせたところ、You give them money, and they will hold it to complete their job.という返事をもらいました。顧問料としてお金を払う、そうすれば弁護士などの顧問はそのお金を使って、あるいは、仕事をやり終えるまでそのお金を保持しておくので「留める」という意味から「顧問料」などの意味に発展したのだろうというわけです。もし頼まれた仕事が顧問料よりも安くあがった場合には、払い戻しがあるそうです。それは当然だろうと思いますが、日本の場合もそうなんでしょうかね。誠実な弁護士さんであれば、おそらく日本でもそうなのでしょう。

subway system を英和でひくと、「地下を走る電車」とあってガックリします。つまり、通常私たちが「地下鉄」と呼ぶものです。では、なぜsystemというのか疑問に思いました。そこで、subwayとどう違うのかALTに訊ねたところ、たとえば、地下鉄サリン事件を考えてみればいいとのこと。あの日、あのような残忍な事件で地下鉄の運行が混乱した。つまりsystemが混乱したでしょう、というのです。つまり、地下鉄というと私たちは一つ一つの駅をイメージしますが、彼らは一つ一つの駅が組織化され、連繋しあって、機能している運輸交通手段として捉えているというわけです。On subway systems around the world, commuters stripped to their underwear in an annual prank. (毎年恒例のおふざけイベントで、世界中の地下鉄で通勤・通学者が下着姿になった)(CNN)

subscription :「予約購読」「申し込み」の意味で使われます。動詞形のsubscribeは書類の下(sub)に署名する(scribe)ことが原義で、そこから「承諾を与える」といった意味合いを持つようになったのでしょう。その名詞形がsubscriptionです。「新聞や雑誌などの定期購読の予約」の意味でもっぱら用いられていましたが、ネット社会になってからは、もっと幅広くいろいろなサービスの登録などにも使われているようです。ともあれ、予約などを申し込むときには必ず署名をすることからこのような意味で使われるようになったと考えられます。I've got to cancel my subscription right now. (今すぐサービスを解約しなくっちゃ) I'd like to renew my subscriptiom.(定期購読を更新したいのですが)

stomach には内臓の「胃」という名詞の他に「食べても大丈夫だ」という動詞があります。通常否定形で用いられ、それを飲んだり、食べたりしたら気持ち悪くなるという意味で使われます。「胃が受けつけない」という言い方を私たちもしますが、日本語の場合もネガティブな言い方しかしません。実に不思議です。I can't stomach seafood. (シーフードが食べられない)(レクシス) 気持ちが悪くなるときにまず胃にくることからこのような意味で使われるようになったのではないでしょうか。ストレスがたまると胃が痛むものですが、stomachもメンタルな意味合いで使われることがあります。しかしそのときにはなぜかネガティブではなくポジティブになるのが不思議です。つまり「やる気」とか「気力」の意味になるのです。He didn’t have the stomach for a fight. (彼はけんかをする気はなかった) この意味のときも、通常否定文で使われることが多いそうです。