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reinは「手綱」という名詞と「制御する」「抑える」といった動詞もあります。発音は雨のrainと同じ[ゥレイン]といった感じ。手綱で馬をあやつるのがreinですが、inを伴って、「制御する」「コントロールする」といった意味でつかわれます。手綱(rein)を引いて馬の歩調を緩めるというのが原義だそうです。なぜinなのかあるALTに訊ねたところ、馬の口にくつわをかませるからinではないか、という冗談とも本気ともつかないような返事がかえってきました。The prime minister reined in the power of the trade unions. (首相は労働組合を抑え込んだ) We should rein in our spending, balance our budget, and stop borrowing. (出費を抑えて収支のバランスを取り、借金をやめるべきだ)
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料理の好きなひとが、I also use fresh herbs quite a bit (わたしは生のハーブもふんだんにつかいます)というのを聞いてquite a bitは口語調なのだと気づいたことがあります。quite a bitを直訳すれば、「相当少ない」となりますが、実はこのように「多い」ことを言います。少ないなりにも多い、とでも考えればいいのかもしれません。いずれにしても、quite a~となるとなぜか数や量が増えます。quite a few も「かなり多くの」という意味で使われます。直訳すると「まったく少ない」の意味であるのに、なぜかquite a lot (かなり多くの) の意味になります。いわゆる、曲言法と言われるものでしょう。日本語でも「つまらないものですが」といって、つまらなくないものを贈ったりします。quiteには、なんだかそんな気持ちが入る感じがします。つまり、bitとかfewの意味をquiteが反対側に曲げてしまうのでしょう。たぶん。Quite a few students are absent today.(かなり多くの生徒が今日は欠席している)(中央) ちなみに、ペンシルバニアにいた頃、quite a little snowと言われて普通のシューズで外へ出たところ、大変な思いをした経験があります。Cf. We have to memorize quite a lot. (私たちはかなりたくさん覚えなければなりません) He knows quite a bit about architecture. (彼は建築についてかなり知識がある)
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refer to A as Bは「人が物事を特定の人または物で呼ぶ」といった意味です。New York is sometimes referred to as a melting pot of races.(ニューヨークは時として、人種のるつぼと呼ばれる)(学習院)この文の場合、能動風に訳せば、人々はニューヨークを人種のるつぼという特定の呼び方をするとなりますが、refer to A as Bのかたちは、この文のように受身形でよく用いられます。This is one of the only places on earth referred to as Shangri-la. (ここは、この世でシャングリラと称される数少ない国の1つです) ちなみに、シャングリラとは架空の楽園、といった意味。We may refer to someone we have only met once or twice as a friend. (私たちはたった一度か二度会っただけの人を友達と呼ぶかもしれない)(西南学院大)もちろん、この文のように能動でも使われます。
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realizeとrecognizeはともに「理解する」という意味なので紛らわしいです。realizeは現実のものにする(make real)が基本的な意味でしょう。そこから「実際にはっきりと理解する」といった意味に発展したと考えられます。realがclearに転じたと考えたらどうでしょうか。She has realized her own mistakes. (彼女は自分のミスに気づいた) 「はっと気づく」といった感じ。ミスが現実のものとしてくっきり浮かび上がってきたわけです。一方、recognizeは、以前見たり実際に会ったことがあるのでわかる、といったニュアンスではないかと思います。接頭辞のreはagainと考えればいいでしょう。もう一度会った、もう一度見た、もう一度聞いた、それでなるほどとわかるといった感じだと思います。I recognized my old teacher in the newspaper picture. (新聞の写真を見て恩師だと気がついた) Having worked with him before, I recognized him at once. (以前彼とは仕事を一緒にしていたので、すぐに彼だと分かった) He started to become recognized and be offered work. (彼は名前を知られるようになり、仕事をもらうようになった) この場合も、名前をもう一度聞いて、あるいは彼の噂を聞いて、といった感じで捉えればいいでしょう。
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Finding Memo’s box-office success has had some unintended consequences. (「ファインティング・ニモ」の興行的成功は、思いもよらぬ結果を生みました)(CNN) という記事のなかのconsequenceを見て、おや? と思って読んでいたら、案の定、サンゴ礁に棲息するこの魚が絶滅の危機に瀕しているという内容でした。consequenceはa result of a particular action or situation, often one that is bad or not convenientとありますから、やはり悪い結果に使われる場合が多いと考えればよさそうです。二つほど例文を見つけてみました。The consequences for European history were far more powerful. (ヨーロッパの歴史に及ぼした影響としては、それまでよりもはるかに甚大なものだった) For someone who is old and weak, the consequences of a broken hip can be serious.(老いて弱ったひとにとって、股関節を痛めると、重篤な結果になることがある)(Cambridge Dictionary)
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「記録的な売上」というときにはrecord salesと複数形になります。salesと複数になるのは、商品がすべて売れてしまうからだと説明したALTがいましたが、さて、どうでしょうか。おなじ理屈でいえば、go on sale(発売される)の場合はsaleと単数無冠詞になりますが、これから商品が市場にでるわけで、どれだけ売れるかわからないのでsaleと単数無冠詞、つまり不可算名詞扱いで使われる、ということになりそうです。The book is bound to make record sales. (その本は必ずセールス記録を打ち立てるだろう)
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He recalled coming here with his partner in the anti-apartheid struggle. (反アパルトヘイトの闘いをしていたころ、彼はここに盟友と来たことを振り返った) この文のようにrecallは動名詞を目的語に取ります。その点では、rememberと同じですが、「ある事実を思い出す」というのがrecallのニュアンスでしょう。ところで、recallには「欠陥商品を回収する」という意味があります。この二つの意味はなかなか繋がらないのですが、recallが意識的に思い出す、つまり、記憶を呼び戻す、ということですから、記憶を商品に置き換えて、欠陥商品を呼び戻すということから「回収する」という意味に発展したと考えたらどうでしょうか。ちょっと強引ですかね。The PC maker Dell is recalling 4.1 million notebook computer batteries. (パソコンメーカーのデル社は410万個のノートパソコン用電池を回収している)